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『……もう少し、早く気づいてくれても
良かったのでスよ』
「いや嫌味か」
『……』
「AIのくせに黙るのはナシやろ」
やっぱり、あれがAや。
確信に変わったら急にこれからの心配が晴れる。
あれを元の世界線上に、何とか連れて帰るんや。
「―――A、髪伸びたな」
「はよ切りたーい」
「もうちょいやろ、」
「せやねん、ほら映画撮ったやん。
もう撮影終わってすーぐ切ってもうたから
公開するタイミングで、映画の役と私の見た目が
イメージ離れてたら困るってことやんな。
事務所の人に、切ったらあきませんって
耳にタコできるくらい言われててん」
「長いのも似合うけどな」
「よかーまさん、褒めんの珍し。」
「そんなことないやろ。
……いや、あれや、短く切ったら
伸ばすの苦行になんのは分かるけど。」
「せやねん。でも私やっぱりこの事務所やからなあ。
浮いてるの分かってるけど、浮きたないねん―――」
この間したばかりの会話を思い出す。
せっかく肩まで伸ばした髪を切って、
またそれを伸ばして。
あの子の髪の短さは、ある種プライドみたいな所があった。
………
「なんですば…るさん居はるんですか」
「仲良くなりたそうだったじゃん、」
「いや、あの、こんなすぐに」
「監督に頼まれたからや、」
「そうですかあ」
「すばさん、紹介するね。
この人、ホテル経営一族の御曹司くんで
私のこと狙ってる山村、じゃなくて横山さんだよ」
「せやから狙ってないて」
「監督は無理や、やめとき」
「なんでよー。
こんなにワンダホーでマーベラスで
ビューティフォーじゃないのよ」
「どこがやねん」
煮立つ鍋の湯気の先に、見慣れた顔が、2つ並ぶ。
あんまり空気感が変わってなさすぎて
何だか涙が出そうになった。
この二人はこの世界でも変わらずじゃれ合ってるのか。
言葉のひとつひとつが嬉しかった。
「え、何？なんか私変なこと言った？」
「……いや、何でもない」
「えっと、横山、さんね」
「…はい」
「すばさん、この人ね、格好いいじゃない？
だから、あのエリートの役良さそうじゃない？」
「…演技見たことないから分かれへん」
「そういう役があるんですか」
「そう。綺麗な人には綺麗な役が必要でしょ」
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ひるた(プロフ) - このような文章形態のお話、大好きです。首を長くして更新を待っております。文章がもう…ド性癖です。なにかの作品の影響を受けられたのでしょうか…？ (2023年1月16日 2時) (
レス) id: d618c40589 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2020年2月12日 21時
