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あの子に、Aに、俺から
仲良うなろうと近づくなんて可笑しな話や。
Aは入所したての頃から
初めて親の顔を見たヒヨコみたいに
俺らの跡をくっついて回っとった。
その分、今のこれは、なんかくすぐったい。
「もしもし、」
「あ、もしもし。山村さん？」
「えっと、電話番号は」
「事務所に聞いたの。元気？」
そのはずやのにAから連絡が来た。
…ほんまにAは俺の知っている人なんやろうか。
せやから、元気？なんて電話を寄越す
Aの既視感が嬉しくて、
共通語なのがちょっと悲しい。
「…元気やで」
「前の世界から知り合いなんでしょ、タメで良いよ」
「じゃあそれで。」
「山村さんさ、」
「もうそれが慣れへんねんな。
山村さん。誰って感じやわー」
「何が良かったの、……あ、芸名の話？
そうだよねえ、御曹司が、本名で
映画出ちゃ不味いもんねえ。」
「え、あ、まあそういうことでええわ」
「何ならいいんですか、名前」
『よこやまゆう』
no8の音声が勝手に再生された。
焦って耳に当てていたスマホを手でお手玉する。
「え？」
「あ、これは、その、あの、」
「横山？」
「あー、それに、右に谷の、裕がええわ俺ー」
もうどうにでもなれ。
決まりきった流れにしか思えへんけど…。
ほんまに知らないんやな。
また少し悲しくなる。
「なんか白々しーい。でも似合う」
「それより、映画の話聞かせてほしい。
Aが考えてんねやろ？」
「うん。来週とかさ一緒にご飯食べよ。その時に」
「よかった、」
「もう、また異世界の話？
私のこと口説くつもりなら、
それ以外のアピールも考えといてよね」
「阿呆、そんなんとちゃうわ」
「じゃ」
勝手に掛かってきたその電話は、また勝手に切れた。
『A'さんがAさん、
という確証は、得られましタか』
さっきは良くもまあ窮地に陥らせてくれたもんや。
運命共同体とちゃうかったんか。
「もう良う分からへんわ………いや、え？待って」
『待っても何も、あなたの手の中にしか』
「ほら一ヶ月前に撮ったとか書いてあった
展覧会の映像？
あれ、髪短かなってたよな。
でも会うたAは俺の方の世界と
同じ長さやった気がすんねん。
役で伸ばしてたから……
あんな一ヶ月で伸びる長さやないし」
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ひるた(プロフ) - このような文章形態のお話、大好きです。首を長くして更新を待っております。文章がもう…ド性癖です。なにかの作品の影響を受けられたのでしょうか…？ (2023年1月16日 2時) (
レス) id: d618c40589 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2020年2月12日 21時
