ニーチェによれば「未来も現在に影響する」そうですが、異世界で別人に成った人を取り戻す方法を考えましょうか【黒】 (ページ4)

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呼んでない、と言いかけて、
スマホから発せられた音声に飛び付く。

「いやいや呼んでる呼んでる」

『何カお困りですか』

「何か言うかさ、ここ、あの、どこ？」

『東京都デす』

そないなこと窓見れば分かる。

外の景色は同じに見える。

ただここは家ではない。

何度も何度も、カーテンを開けては閉める。

「…え拉致？誘拐？」

『よこやまさんが移動したGPS履歴はありマせん』

「じゃあ、何？え？」

部屋をぐるぐる歩き回っても、何も分からへんけど
それくらいしかやることもない。

高速早歩きの合間にテレビを付ける。

見たこともない朝の情報番組が大映しになり、
半分パニックでチャンネルを回す。

「これも知らんしこれも分かれへんし、は？
え？7時やろ昨日までやってたやん、しかも
誰やこのアナウンサー」

『私のデータベースに無イです』

「ええええ…どうすんねん」

『データ通信ではなク、こちらのWi-Fiを使用して
情報収集しますか？』

「とりあえず頼むわ」

外に出るのはあまりにリスキーな気がする。

no8の入ったスマホは何だか頑張ってるらしく、
熱くなりながら読み込みを続けている。

「え、Aやん！no8！
テレビにほら！よかった、やっと知ってる人や
……え？」

いつものように液晶に映るAちゃんが、
いつもと違うことに気付いて、血の気が引いた
同じ瞬間に、no8も恐ろしい検索結果を発した。

『よこやまさん。私の情報収集結果によレば
この状況、もとい、この世界は私ヤ、
よこやまさんの存在していた日本、世界では
無い可能性があリます』

「そんなん信じ……」

『しかし』

「これ、何、もしかして企画？手込みすぎやって。
A、Aが、そんな訳あらへんやんか、」

『小早川A(199✕年✕月✕日〜)は
日本のアーティスト。✕✕美術大学美術学部映像学科卒業。
幅広く活動し、特に、MV監督、写真家、
映画監督としての評価が高い。』

「……ええ…」

『小早川Aさんについて、
こチらのネットワークではこのような情報しかアりません。
さらなる調査の為、自動思考能力システムを実施しますか？』

「…自動、」

『自動思考能力システムでス』

「とりあえずよろしく」

『いやーよこやまさん、緊急事態でスよ』

「急に馴れ馴れしすぎやろ」

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