さよなら代役【8人目】 (ページ25)

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嘘つきになってしまってページ25

嘘つきになってしまって【A】

元々、父の亡くなる前から、伯母も
私の活動には批判的であった。

息子の受験失敗に対して
私が成功しているように見えたのかもしれない。

私はその時にはもう『仕事だけは続けさせてほしい』、
その一言すら言えない状況にあった。

……私は、だめになってしまった。

私は私の状況を、許せなかった。

仕事では完璧を目指していた私が
仕事ではあんなに褒めてもらえる私が

人の顔色ばかり窺いいつも怯え、泣いてばかりで
普通の暮らしが出来ていないことに腹が立った。

私は、ステージからテレビから誰かを笑顔にすることを
社長や、いろいろな人から期待されていたのに
今や自分が、めそめそしている。

状況に打ちのめされている自分が大嫌いで仕方なくなった。

私は、人間としてぎりぎりだった。

そのせいか、私はよく記憶が飛ぶようになった。

脳がだめな自分を、受け入れられなかったのかもしれない。

誰にも見えない頭の中で、混乱は続いた。

頭の外はいつも冷たく冷え切っていた。

伯母や、従兄弟の暴力は止むことはなかったが
彼らの付けた痕は、巧妙に隠れる場所ばかりが狙われた。

その頃には、私は告発だとかに
一切の価値を見いだせなくなっていた。

季節は冬だったし、世界の誰も
私のことを気にしていないように思った。

でも、神様は居た。

当時の担任の先生が私の神様になってくれた。

寒い体育館での身体測定が
私の痣に日の光を当てることになった。

これは、私が転校生だったことや
担任の熱心さが、吉と出たことで
以後、先生は校長に相談し
校長は教育委員会に相談し
教育委員会は、児童相談所へ情報を下ろした。

私は地獄から助け出され久しぶりにゆっくり眠った。

そうして私は、次に高齢の祖父、
つまり母の父親に養育されることが決まった。

私はまた関西を離れ、義務的に引っ越しと転校をした。

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