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もう二度と戻れない日々 ページ22

もう二度と戻れない日々【A】









今も、いやこれからも、忘れられない出来事がある。




出来事というか、私の歴史の中で消えない日々のこと。



その後にいくら何か起ころうとも
私にとっては大切な時間だった。



私が"最初の両親"と過ごした子供時代は
平和で楽しくて、夢ばかり見ていた。









でも今は、遥かな過去になって、ただ私の後ろにある。



去っていった人たち。居なくなってしまった人たち。
みんなに対して、今はあまり振り返る気持ちにならない。




でもみんな、私に形は違えど
命の大切さと脆さを、教えてくれた。






今でも、何も思わないわけではない。





心の傷は痛み、消せない記憶ばかりが
いつまでも焼き付いている。


でもこれが真実であり、私の人生だ。








……








私が生まれたのは
兵庫県の有名な歌劇の街だった。

父の出身地であるそこは別に都会なんて言えないけど
見慣れた電車が、毎日私達を見守っていた。



私はそこで、日本舞踊やら水泳やらを習う
ごく普通の小学生をしていた。


誰とも変わらない、ただの女の子として
両親と、ぴかぴかのマイホームに住み
ひとつ違うことは、jrとして活動していることくらいなもので。





父と母はよくそのことで喧嘩した。

母は全面的に賛成し、常に理解を示していたが父は違った。



まあ、当たり前と言うべきかもしれない。



父は私の将来を心配していた。

中途半端なところで放り出されたら
名前も顔も、世間に知られている状態で
進学したり、就職することになってしまう。


子役としての寿命は短い。

父の憂鬱も、理解出来た。






でも私は関西jrのみんなが好きで、ダンスが楽しくて
女の子たちを笑顔に出来る、そんな先輩たちに憧れていて
演技の仕事をもっとやりたくて
沢山、仕事を回してくれる事務所に貢献したかった。









そんな中で、あの火事が起きた。


1月の寒い日で、私は映画の撮影で
地元から離れた、もっと寒い所に居た。






夜中に隣の部屋に寝ていた事務所の人に
凄い剣幕で起こされて、私はそのことを知った。

朝になるのを待って、新幹線で帰ると
家は変わり果てた姿で、そこにあった。




水浸しのコンクリートと、
割れた窓から、向こう側の空が見える二階をよく覚えている。




警察で、母と再会した。


母はその日、隣町の友人宅へ遊びに行っていた。








家で発見された遺体は消去法を使わなくても、父だった。




.

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設定タグ:関ジャニ∞ , 8人目 , 紅一点   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ゆうみ | 作成日時:2020年2月27日 11時

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