私は君から離れない【琴子ママ】 ページ20
私は君から離れない【琴子ママ】
「……え、琴子さん」
「Aちゃん、久しぶり！」
私は、その顔が見れただけで嬉しくなってしまって
思わず立ち上がり痩せたその背中を抱きしめた。
「どうして…」
「Aちゃん、あのね、私事務所から聞いてたの。
ずっとずっと心配で、それで
また違うお家に行かされるって聞いて…。
だから、私、もう来ちゃったよ」
伸びた髪、びくびくした態度、そのすべてが悲しかった。
「ねえ、私と暮らさない？」
「え？」
「もう引っ越ししなくていいし
お仕事もAちゃんがしたいなら全力でサポートする。
私、結婚してないし、これからもしない。
子供も、多分無理だから、生まない。
それに、私のお父さんも居るし、家建てるし
普通の人よりはお金もある。
習い事も、塾も、留学も、大学も、なんでもしていいし
旅行にも、いっぱい行こう。
何回も何回も一緒にご飯食べて
いっぱい話して、だんだん仲良くなろう。
だからさ、その…私と家族に、なってくれない？」
私はずっと、Aちゃんの眼を見ていた。
この時、世界には、私とAちゃんしか居なくなった。
「……うん」
「え、」
「……私、琴子さんについていきたい。
私で良かったら、私のこと、家族にしてください」
私はまたAちゃんを抱きしめた。
.
全てを敵にしても守る【琴子ママ】→←本当は君に出来ないことなんてないのに【琴子ママ】
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作者名：ゆうみ | 作成日時：2020年2月27日 11時
