冷たい光の中へ (ページ6)

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呼び出し音が鳴り続けるが、横山さんはなかなか出ない。10コール。11コール。それでも出ない。

そしてとうとう呼び出し音が鳴りやみ、電話が切れた。

「そうだよね。今日の主役なんだし、皆に絡まれてるよね」

そう落ち込んでいた時、電話がかかってきた。ディスプレイには横山さんの名前が表示されていた。私は急いで電話に出た。

「はい！もしもし！」
「悪い。先輩にダル絡みされてて出損ねた」

誰がダル絡みやねん！と、横山さんの声の後ろで、すでに出来上がっているであろう村上さんの声が聞こえた。

「終わったか？」
「はい。終わりました。村上さんに電話かけたんですけど、出られなくて」
「もうだいぶ酔ってるからな。K駅の東口を出たとこの焼き鳥屋におるから、気を付けて来いよ」
「分かりました。ありがとうございます。15分くらいで着くと思います」

電話を切って歓迎会に向かう準備をした。

「気を付けて来いよ、か」

クールだけど、やっぱり優しい上司だなと久しぶりに実感した。給湯室では少し怖いとさえ思ったのに。私は案外ちょろいのかもしれない。

早く行こ！

私は荷物を持って急いで向かった。