冷たい光の中へ (ページ2)

今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:4,887 hit

2 ページ2

横山さんが嫌いというわけじゃない。
入社したてで右も左も分からない私に、一から仕事を教えてくれたり、仕事が終わる時間になるとときどき、お疲れ、ってコーヒーをくれる優しいところがあったり。とてもいい人。なんならイケメンでかっこいいし！

でも…

苦手だ。

クールで表情を顔に出さない人だから、何を考えているのか分からない時がある。なんなら怒らせているんじゃないかと思うこともあった。要するにとっつきにくい。

「あれ？嬉しくない？」
表情が曇った私に気づいたのか、りさがこっちを見た。

「だって横山さんと接するの難易度高いんだもん」
「あー、そっか。そういえば昔言ってたね。イケメンだけどクールすぎて何考えてんのか分かんないーって。笑」
「笑わないでよー。こっちは本気で心配なんだからー」
「ごめんごめん(笑)でももうあれから2年くらい経つんだから、仕事もだいぶできるし大丈夫だよ！」
「そうかなー？」

確かにりさの言う通り、だいたいの仕事は一人でもこなせるようになっていた。これなら前よりも仕事の細かい話もできて、少しは横山さんと打ち解けることできるかな？

「おーい！A！今日中の書類終わってんのかー？」
背後から関西弁が強めな課長の村上さんの声がした。
「あ！まだです！すぐやります！！」
「横山が戻ってくるのが嬉しいのも分かるけど、ちゃんと仕事しぃーやー？」

村上さんは持っていた書類を上げて、頼んだでー！と、ひらひらさせながら廊下を歩いていった。

その後ろ姿を見届けてから、そろそろ戻ろっか？とりさに促され、それぞれ自分のデスクに戻った。村上さんの説教は長いからねーなんて笑いながら。