2月28日(土) ページ42
(微ぐろ表現注意)
今日が休みでよかった。
エースのおかげで落ち着いたとはいえ仕事のできる精神状態ではない。未だ尾を引く生理の倦怠感と昔の記憶による吐き気が腹の中で混ざり合う感覚が気持ち悪い。
今日もエースが朝食を持ってきてくれたが、気持ち悪さからスープしか飲めなかった。
『……聞きたそうだね、封筒のこと』
「い、いや…べ、別に…」
『気になるって顔に書いてあるけど』
「それはッ…気にはなる、けどよ」
『こうなった以上聞いてもらうべきかなって。とても気持ちのいい話じゃないけど…』
父が殺される前から母は悪質なストーカー被害にあっていたそうだ。両親は当時の私に隠していたからそれを知ったのは事件の後だった。
無言電話、付きまとい、盗撮写真や長文の手紙の投函…
写真や手紙が投函される時、それは決まって目立つ赤い封筒に入っていたという。
勿論その被害は警察に届出たけど周囲を巡回する、とだけ言われたそうだ。当時は犯人の目星もついてなかったから。
そして事件は急展開を迎える。
父が行方不明になったのだ。
連絡も取れない、会社に聞いても分からない…2日経ってもその状況が続き、母は警察に相談に行ったそうだがそれもどの程度捜索してくれたのかは私の知るところでは無い。
当時の私は父が帰らないことを不思議に思って母に聞いたけど、急な出張が入ったとか、よく覚えてないけどそんな嘘で誤魔化された。でも、何か隠していることだけは母の表情から感じ取ってはいた。
でも、私たち親子が恐怖のどん底に叩き落とされたのはその後だった。
当時小学２年生だった私はいつも通りに近所の友達と帰宅していた。ただいつもと違ったのは自分の家の前に知らない男が立っていたことだけ。
お客さんだろうか、と不思議に思っているとその男は私に気づきAちゃんだね？と尋ねてきた。男は自分はお母さんの友達だと言い、雰囲気も柔らかく優しい笑顔を浮かべた。私は警戒心を解いてしまい、男が母に渡して欲しいという赤い封筒を受け取った。
母に封筒を渡すと酷く動揺した。当然だ、自分を苦しめる封筒を娘が持ってきたのだから。平静を装う母は私に手を洗ってきなさい、と一度遠ざけた。
が、数分後母の絶叫が耳を劈き、急いで母の元に戻った。
その時の光景はもう一生忘れることは無いと思う。
崩れ落ちる母の足元、そこに落ちていたのは真っ赤な封筒ともうひとつ、
同じく赤く染まった指輪のついた人間の指だった。
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葵(プロフ) - めりーさん» めりー様コメントありがとうございます。全部ありがたいお言葉すぎて感涙です…！今後とも楽しんで読んでいただけるように頑張りますのでよろしくお願いします！ (2023年3月13日 9時) (
レス) @page32 id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
めりー(プロフ) - 続編行くんですねっ！😆✨とても大好きで読ませてもらってます！文才がすごくて憧れます😌🙏💫応援してます🔥ꉂꉂ📣 (2023年3月11日 22時) (レス) @page46 id: 4d1819db53 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - ココナッツさん» ココ様！前作に引き続きコメントありがとうございます。笑っていただけて光栄です笑。これからの展開もぜひ楽しんでいただけると嬉しいです！今後ともよろしくお願いします。 (2023年2月26日 7時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 十六夜紅葉@斎藤一推しさん» 十六夜紅葉様コメントありがとうございます。応援とても励みになります。これからもよろしくお願い致します！ (2023年2月26日 7時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 葵様こんばんは。新作早速一気読みしてしまいました´`* 私5話の｢あ。結構馬鹿だ、この人。｣が好きすぎてつい笑ってしまいました(笑) 夢主さんとトリップしたエースさんのこれからが楽しみで仕方ありません…!! 今作も応援してます (2023年2月25日 23時) (レス) @page5 id: a1f85287cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2023年2月23日 12時
