2月26日(木) ページ37
目が覚めるとちょっと違和感を覚えた。
あぁ、私の部屋か。
まだ2週間も経ってないがちょっと自分の部屋が懐かしい。
あれ、てことは？
まだ眠気で覚醒しきらない頭を物理的に横に向けるといつもより癖の強い黒髪が見えた。
エースはベッドに背中を預けたまま座りながら眠っていた。私が寝ちゃったから運んでくれたんだ。私があまり母の部屋に入って欲しくないと思っているのを察してこっちの部屋に。
それにしてもこいつ、昨日髪乾かしてないだろ。元から癖毛ではあったと思うけどいつも以上にぴょこぴょこと跳ねている。
私の髪は乾かしてくれたくせに自分のは乾かさないのか。毛布もかけずに寝るなんて、風邪ひいてもおかしくないぞ。
ぴょこんとはねた毛先を指に引っ掛けるとバネのようにゆらゆら揺れて元の位置に戻る。
朝日の差し込む窓、温かい布団に同居人の寝癖。
…腹部の倦怠感さえなければとても平和的ないい朝だった。
とはいえ仕事は待ってくれない。月イチで生理休暇を作ってくれ誰か。一日でいいから。
「んん、A…はよ」
『エース、おはよ』
「体調大丈夫か？」
『…あんまり』
「仕事行くのか…？あんま無理しねェ方が…」
『薬飲めば大丈夫よ。これくらいで休んでらんないもんね』
エースは不服そうな顔をするが女なんてそんなもんだ。皆しんどいけど毎回毎回休んだりしない。
でもその自分は分からない痛みをちゃんと労れるのは彼の優しさゆえだな、と少し朝からほっこりした。
『さ、準備しなきゃねー』
「朝飯なんかパン焼くか？」
『いや、スープだけでいいわ。その箱に入ってるやつ』
「ん、お湯沸かしとくな」
随分とこの家にも慣れたものだ。
昼ごはんに前日の夕飯やカップ麺を食べてもらってるおかげで電子レンジやポットの使い方はもうお手の物だった。
身支度を終え、エースが沸かしておいてくれたお湯でスープだけ飲むと体が中の方から温まる。飲み干す頃には家を出る時間が迫っていた。
『じゃ、行ってくるね』
「あんま無理すんなよ、本当に。今日夕飯俺作るから！」
『え、そっちが無理しないで？帰ってきたら家爆発してましたとか嫌だよ、私』
「さすがにしねーよ！」
全く信用できないので私が帰ってきてから一緒に作ることにした。
ごめん、気持ちはとても嬉しかったよ。
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葵(プロフ) - めりーさん» めりー様コメントありがとうございます。全部ありがたいお言葉すぎて感涙です…！今後とも楽しんで読んでいただけるように頑張りますのでよろしくお願いします！ (2023年3月13日 9時) (
レス) @page32 id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
めりー(プロフ) - 続編行くんですねっ！😆✨とても大好きで読ませてもらってます！文才がすごくて憧れます😌🙏💫応援してます🔥ꉂꉂ📣 (2023年3月11日 22時) (レス) @page46 id: 4d1819db53 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - ココナッツさん» ココ様！前作に引き続きコメントありがとうございます。笑っていただけて光栄です笑。これからの展開もぜひ楽しんでいただけると嬉しいです！今後ともよろしくお願いします。 (2023年2月26日 7時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 十六夜紅葉@斎藤一推しさん» 十六夜紅葉様コメントありがとうございます。応援とても励みになります。これからもよろしくお願い致します！ (2023年2月26日 7時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 葵様こんばんは。新作早速一気読みしてしまいました´`* 私5話の｢あ。結構馬鹿だ、この人。｣が好きすぎてつい笑ってしまいました(笑) 夢主さんとトリップしたエースさんのこれからが楽しみで仕方ありません…!! 今作も応援してます (2023年2月25日 23時) (レス) @page5 id: a1f85287cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2023年2月23日 12時
