番外編・甘いハ亜トとチョコレゐト ページ47
バレンタイン。
世間にあるそんな文化も生まれてこの方一般的なコミュニティで生活したことの無い私には無縁なものだった。
だがわたくしアイリン、20歳。
ついに恋人のためにチョコを作ってみた。
「まぁ見た目はあれだが何とか形になったな」
『チョコは見た目じゃないの。味と気持ちだよ』
「よく言うぜ。1回ケーキ丸焦げにしやがったくせに」
『予熱なんて概念知らなかったんだもん』
「俺教えたよな？？」
今は2月14日になったばかりの真夜中。
エースが寝付いたのを確認してからサッチに習いながらチョコケーキを完成させた。
ようやく寝れる、と欠伸を隠そうとしないサッチにありがとうと感謝を伝え明日のエースの驚く顔を想像しながらケーキを冷蔵庫にしまった。
事件が起きたのは数時間後。
夜遅くまでケーキを作っていたせいでかなり寝坊してしまった。軽く身なりを整え、いつものように食堂に顔を出すとなんだか少しざわついていた。
まだ覚醒しきらない頭でぼーっとその騒ぎに近づいていくと珍しくサッチがいつもの穏やかな口調を崩して声を張っていた。もう少し近づくとその相手は複数の船員で何かを食べ終えたであろうその皿を見てあぁ、と察した。
「あ、アイリン…」
1人が私の存在に気づき、周りが顔を青くして一斉にこちらをむいた。
「ち、違うんだアイリン！俺知らなくてよ！！すまねェ！」
「知らなかったで済むかよ！アイリンがどれだけ頑張って作ったと思って」
『いいよ、サッチ』
そりゃそうだ。この船にバレンタインなんて風習はない。1600人もの男所帯にそんな乙女チックなイベントは今まで無かったのだから知らなくて当然なのだ。
仕方のないことだ。
『美味しかった？』
「…へ？あ、あぁ！とんでもなく美味かったぜ！あんな美味いケーキは初めて食べた！！」
『そっか。なら良かった…！
エースには内緒にしてね』
「アイリン！！」
悪気がない人を責めてもどうしようもない。
慣れないことはやはりするものではない。
ここにエースがいなくてよかった。
1度失敗してしまったからもう材料は残ってない。
期待を募らせていた分、自分で思うよりショックが大きかった。
数分前に起き上がったばかりのベッドに再び身を投げる。
今日なんか当番あったっけ。イゾウさんに怒られるかな。
けど今は誰の顔も見たくないな。
コンコン
「アイリン？」
そういう時に限って1番会いたくない人の声がする。
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葵(プロフ) - ココナッツさん» とりかごも読んでいただいたんですね！嬉しい限りです！今後とも感動できるお話を届けていきたいと思っておりますのでこちらの続編も楽しみにしていただけると幸いです。応援のコメント本当に励みになります！ありがとうございます！！ (2023年2月7日 21時) (
レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 葵さん» お返事ありがとうございますっ 止まらない涙で文字を読むのに時間がかかりましたが…何度でも読み返せます。 今日鳥籠の方も拝読しましたっどちらも良いですね…私の涙腺が大変なことになってます笑笑 更新大変かとは思いますが、楽しみにお待ちしております！ (2023年2月2日 23時) (レス) @page33 id: a1f85287cc (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - ココナッツさん» ココナッツ様コメントありがとうございます。大分長い作品なのに一気読みしていただいてありがとうございます！私も泣きながら書いていたので泣いていただけて嬉しいです！今後の展開も楽しみにしていただけたらなと思います！ (2023年2月2日 20時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - ワンピース大好きで、作者さんの作品を見つけた瞬間3日間ほどで一気読みしてしまいました笑 後半は泣きながら読みました…辛いけど私も夢主さんが生きててくれて嬉しいです…！ これからの行く末がとても気になります。更新大変だとは思いますが、応援してます！ (2023年1月31日 13時) (レス) @page26 id: 160792ee1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2023年1月24日 15時
