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「いやーうちのバカどもがすまなかったなぁ、アイリンちゃん!怖くなかったか?大丈夫か??」



適度な距離を保ちつつ明るく、それでいて心配してくれるサッチさん。

2人とはまた違った陽気なタイプだけど面倒見のいいお兄ちゃんって感じの人だなぁ。



『大丈夫、です!

えと、あの…は、はじめまして。アイリンです。いつも、美味しいご飯をありがとう、ございます…!』




ピタッとサッチさんの動きが固まる。


どうしたのだろう、と思った3秒後だばーっとサッチさんの目から滝のような涙が流れ出した。




『え、え……え???』



「アイリンが困ってるだろうが!急に泣くんじゃねェ」



「あいたッ…イゾウちゃん!俺は今感動してるの!!あんなボロボロに弱ってた女の子が!男を怖がってたっていう女の子が俺に!!ありがとうって!!うわぁぁぁぉん」



「泣きすぎだよい」




何か悪いことを言ってしまったのではと一瞬焦ったがそうではないようでほっとした。

が、ほっとしたことで気が抜けたのか今度は




ぎゅるるるるるるるる




ぎゃーぎゃーと言い合っていた3人はぱったりと口を閉じてゆっくり私を見る。



これでもかと言うほど大きな音で鳴いた腹の虫。



さ、最悪……



ばさっとフードを深くかぶりこんでその場に踞るようにして顔を隠す。

穴があったら入りたい。いや、穴を掘ってでも埋まりたい。
ここ海の上だけど。




「ははは!もう昼過ぎだもんな!よしっ俺っちがアイリンちゃんのためになんでも好きなの作ってやんよ!」



アイリンちゃんは何が好きなんだ?と声をかけてくれるサッチさん。

好きな食べ物……ここに来る前は料理と呼べるようなものは食べていなかったし、山にいた頃もそんな大層なものはあまり食べたりしなかったからなぁ。


…あ



『…なんて言う料理か覚えてないんですけど…卵の中にご飯が入ってて、赤いソースがかかってるやつ…』



「オムライスか!待ってな、アイリンちゃん。サッチさんが最高のオムライス作ってやるからなァ!!」




かなり昔の話だ。

エースが来る前だったか、エースが来た直後くらいだったか、どちらにせよ10年以上も前の話。


1度だけダダンが変装をしてまで私を街に連れていってくれたことがあった。その時に食べたのがあの料理だった。


あれ以来食べてないし、どんな味だったかは覚えてないけどすっごく美味しかったのだけは覚えてる。





ダダン、元気かな…

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作者名: | 作成日時:2023年1月12日 8時

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