運命の炎の糸-3-【白ひげ海賊団】 (ページ5)

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『ルフィ、立てる？』

もう限界のルフィ。
エースのビブルカードを彼に返しながら問うとまだ走れる！と口では言うものの力は入らない様子だった。

「まだ！！！俺は……走れるッ！！」

『ルフィ…！？』

彼に肩を貸そうと差し伸べた手をガシッと掴むとルフィはあろうことかうおおおお、と雄叫びを上げながら立ち上がったのだ。

そして私の手を掴んだまま走り出す。

『ちょっ…と！

エース！！置いてくよ！早く！！』

一体どこにそんな力が残っているのか、それもかなり早く走るものだからエースを取り残してきてしまう。
慌てたエースが水滴を振り払うように走ってきて私の反対の手を掴んだ。

『なんでみんな手つないでんの』

「繋ぎたかったから！！」

「ルフィが繋いでたから！！」

真ん中が1番走りづらいんだけど知ってる？

両腕を2人に振り回され走りづら言ったらありゃしない。

でも、あったかいなぁ。この時が一生続けばいいとすら思う。

離したく、ないなぁ。

背後の嫌な気配は確実に近づいてきている。

それにこの手を離したらこの子たちは私を追いかけてきちゃうから。

私は2人の手を繋いだまま、スピードを上げた。昔のように、手を引くように。

『ジンベエ！イワちゃん！』

前を走るふたりが顔だけちらっとこちらに向ける。

両手に力が篭もる。

『これから誰に何が起きたとしても…

絶対、こいつら離さないでね！！』

足を止め、2人の手を離し、その背中を強く押した。

ジンベエとイワちゃんは驚きながらも押した勢いで倒れ込む2人をキャッチしてくれて、意味を悟ったようだ。

そして向かっていた方向から背を向け、走ってきた方に向き直って歩いた。

もう、振り返らない。

「アイリンッ！！」

何も言うこと聞いてくれないあんたらのお世話はもう懲り懲り。

私も、もう言うこと聞いてあげないから。

マグマはもう目の前まで迫っていた。