運命の炎の糸-3-【白ひげ海賊団】 (ページ1)

今日:2 hit、昨日:37 hit、合計:29,989 hit

-48- ページ1

凍死しかけていた私を助け、青キジの攻撃をも防いでくれたエースのおかげで大将から何とか逃げることに成功した私たちは現在脱出船にむけて逃走中、なのだが。

「何でだよ！アイリンは俺がおんぶするんだ！！」

「馬鹿言うな俺の彼女だぞ！俺が抱っこするのは当然だろ！それにまだ体も冷えてる、俺があっためてやらねェと寒いだろうが！！」

「エースずるいぞ！なぁ俺もあったかいぞアイリン！俺だってもうアイリンのこと抱っこもおんぶも出来るんだぞ！」

「いくら助けてくれたお前でもこいつだけはやれねェな。それにお前、逃げるのでもう精一杯だろ？大人しく俺に譲っとけ」

「やだ！！俺がアイリンおんぶする！！」

『あんたら逃げることに集中しなさいよ！！』

なんだこの急な緊張感のなさは。

今は私エースにお姫様抱っこ状態。

確かに冷えた身体には彼の温かい体温は染みるし、だいぶ動かせるようにもなった。くだらない喧嘩を聞くのも10年ぶりで心も体も温まっていく幸せを感じた。

ここが戦場であることを除いては。

彼らはここが一体どこだか本当に理解しているんだろうか。

でもそれがどうでもいいと思えるほど私の頭も緩んでいた。

またこうやって会えて、触れて、笑い会えた。
そこにルフィも居る。これ以上幸せなことがあるだろうか。

いや、サボもいたらきっともっと幸せだったのかもしれない。

でも今はこれが最高の幸せ。

相変わらず両者1歩も譲らずだんだん話のズレた口喧嘩をしているがそれがなんとも心地よかった。

「よーく聞け！白ひげ海賊団！！」

そんな喧嘩に終止符を打ったのは親父の声だった。

「今から伝えるのは、最後の船長命令だ。

おめェらと俺はここで別れる。全員必ず生きて無事新世界に帰還しろォ！！」

『親父ッ…！』

エースに下ろしてもらうと少しふらついた。その視線の先には変わらず偉大な親父がいて、彼は能力で海軍本部基地を崩壊させた。

親父と、ここで別れる…？

約束したじゃない、花嫁姿を見せてあげるって。

ヴァージンロードは隣を歩いてねって言ったじゃない。

ねェ…

思わず足が親父の方へと動く。

その私の腰をグッと引き寄せ、止めたのはエースだった。

「……ダメだ、アイリン」

『おや、じ……！！』

エースは私を背に隠すように前に立つと炎戒を展開させた。

炎の壁が包む中には私とエース、そして親父だけがその空間に取り残されていた。