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痛みなのか熱さなのか分からないくらいだった。
ギリギリで直撃は避けたものの飛び散ったマグマの餌食になる右半身。


腿、肩、腹、顔…少し飛んできた飛沫程度のマグマでも肌を溶かし、爛れさせるには十分の威力。

いちばん大きな塊が飛びついてきた右肩はもうその先の腕ごと溶け落ちていた。




「死ね」





私の人生は幸せだ。

今までも、これからも。




誰になんと言われようと、それはそうなのだ。





けど欲を言うなら、あなたたちの未来をもう少しだけ見てみたかった。





「炎戒ッ!!!」





こうならない為に、ジンベエたちに頼んだのに。





「おいアイリンッ!!死ぬな!!

お前が言ったんだぞ、生きろって!こんなところで死ぬんじゃねェよ!!なぁ!」





でも知ってた。
あんたら私の言うことだけじゃなくて、誰の言うことも聞かないもんね。



本当に、手のかかる。




「ルフィ!アイリン連れて早く行け!早く医者に!!」



「おう!!」




伸びた腕が私に巻きついて身体が浮く。




「その女はもう助からん」



「アイリンは死なねェよ!!死なせねェ!絶対!!」



「さっき大人しく死んでおけば楽に行けちゃいうものを。

死にかけのゴミとこれまた死に損ないのクズから片付けちょるわ」



「ッざけんなてめェ…!!

火柱ッ!!!」




「効かんと言うちょるんがまだ分からんのか。大人しくみちょれ」




「ルフィ!走れ!!」



「ぁ……」




もう私は助からないと感じていた。
呼吸をひとつする度に体から流れ出るのは血か、マグマか、それとも私の命か。

そこまでと言わずともルフィももう限界は超えていて。本当の本当に、もう満身創痍。



せめて、ルフィだけでも誰か…



ぼやける意識の中、私には声を出して誰かを呼ぶことすら叶わなかった。




だめだなぁ、ほんと。

ごめんね、お姉ちゃん守ってあげられなくて。




火山が噴火したように勢いよく私たちを襲う赤いマグマにもう為す術はなかった。




「がふ…」



「え、エース…?」






もう暗くなった視界に聞きたくなかった声がふたつ。



私は結局、何かを守りきれたことがあったのだろうか。

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作者名: | 作成日時:2023年1月12日 8時

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