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「で、茶会はどうだったよ？俺のクッキー食べてくれたか？？」
「あぁ、癒しだったよい」
「！？こんなほわほわしたマルコ見た事ねェ！何があった！？」
サッチのデカすぎる反応にわらわらとクルーが集まってくる。
やめろ、こちとら余韻に浸ってるんだよい。むさ苦しい男に囲まれちゃ消えちまうだろうが。
だがこうなった以上話さないともっと面倒なことになるのは経験上よーくわかっている。事のあらましをざっくりと説明した。
「はぁぁぁ…いいなぁ…俺もアイリンちゃんに会ってみてェよォ…」
「まだ無理だよい。特にお前は」
「どういう意味だコラ。
でもそっかぁー！クッキー気に入ってくれたのかぁ！！また作ってあげよー！♡」
「だいぶ回復しているな、思っていたよりずっと早いんじゃないか？」
「あぁ、思ったよりあいつが自発的に動くタイプだったからな」
「よかったな」
「……あぁ、よかったよい」
生きてきてよかった。
医者としてその言葉ひとつにどれだけの価値があることか。
目の前にある命はひとつだって取りこぼしたくない。だがその全ての命が助けを求めているとは限らない。
アイリンのような、地獄にいたような連中はもう解放してくれと、なんで助けたんだと思うやつだって少なくない。無責任に助けるなと言われたことだってある。
それでも無責任にでも助けたくなるのが医者の性で。
辛く苦しい人生だったはずだ。
何度も死にたいと、逃げたいと思ったはずだ。
-生ぎで、きて…よがった……！！ッ…ぅあり、がとう…！！ぐす……
「…あいつは、強くなるよい」
世界政府なんかに、海軍なんかに、
天竜人なんかに
あいつの命はやらねェ、絶対に。
＊
コンコン
『いらっしゃい！マルコ！！』
1週間がたった。
マルコはあれから暇を見つけては時折ナース室に顔を出すようになった。
普段は男子禁制だがアイリンの嬉しそうな顔を見ると止めることのできないナースたち。
最初の方こそナースが取り囲むように見守っていたが今ではもう2人きりでも話せるくらいマルコに気を許しているアイリン。
マルコもマルコで最近呼び捨てで呼ばれるようになったことをほかの隊長に自慢する程度にはアイリンを可愛がっていた。
『あのね、マルコ。今日はひとつお願いがあって……』
「んー？どうしたよい」
なんでも言ってみろ、とデレデレなマルコは既に妹に堕ちていた。
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作者名：葵 | 作成日時：2023年1月12日 8時
