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「ッてんめェェェェエ！！さっきもやったな！？お前能力者か！クソッ」
いとも簡単に床に押し倒され口に突っ込まれたままのナイフに力が込められる。
「こうなったらお前も道ずれだ。死ねェッ！！」
希望なんて、やっぱり
「させるかよい」
喉に来るはずの痛みはいくら待っても襲ってこない。
閉じた目を開くと自分は青い炎に包まれていて、私を刺そうとしていた男は朦朧とした意識はでは認識すらできず、そのまますぐに気を失った。
○
「マルコォ、その娘は無事か」
「一応…だが無事とも言えねェなこりゃ。今まで意識があったのがおかしいくらい衰弱しきってる上にかなりの熱だ。このままじゃ死んじまうよい」
「他のやつらはどうだ」
「皆死にそうだ！怪我してる奴も多い！！」
「ナースたちを総動員して命を繋げェ！！誰1人、死なせんじゃねェぞ、野郎ども！！」
白ひげの言葉にうおおおお！と士気が高まったその時だった。
ごごごごご、と島全体が大きく揺れ始めた。
「な、なんだこの揺れ！」
「まさか親父の力…！？」
「俺がこんな時に意味もなく力使うわけねェだろうが。それにこれはただの地震じゃ…」
地震は収まるどころか強くなる一方で、さらに今度は戦闘で散らばった瓦礫や転がったままの刀などの武器、あらゆる物体が浮かび上がり空中を勝手に飛びまわり始めた。
「今度はなんだ！？」
「瓦礫が降ってくるぞ！逃げろ！！」
「ッ！？お前…」
マルコが抱えていた娘は意識を失ったままだが、苦しそうに小さな呼吸を繰り返す。
そして彼女の体は瓦礫や武器と同じように宙に浮かび上がっていく。
(あのガキの能力か…)
白ひげはさっき男を動けなくした能力を見ていた。因果関係は分からないがこのガキの能力が暴走していると考えた。
もう一度娘に目を戻すと苦しそうな表情の中一筋涙を流したのが見えた。
生きることを捨てたような目に、ナイフを口に突っ込まれても表情ひとつ変えねェようなガキの涙。
一体おめェ、そんな小せェ身体どんな世界生きてきた。
物理的に天にも昇っていくような彼女。
おい、神とやら。こんな若ェ娘連れてくにはまだ早ェだろうが。
力加減を間違えれば潰しかねない弱々しい体を力を入れずに抱き留める。
すると激しかった地震はカタカタと小さな揺れに変わりやがて収まる。中を飛び交っていた瓦礫や武器もその場でカラカラと地面に戻っていった。
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作者名：葵 | 作成日時：2023年1月12日 8時
