-36- ページ37
ザシュッ
後ろで嫌な気配を感じた。
周りのみんなも後方を見て言葉を失って固まっている。
恐る恐る後ろを振り向くと1番見たくなかった光景が目に飛び込んできた。
『おや、じ……？』
遠目からもわかるその巨体を貫く1本の刃。
その刃の持ち主は親父が信頼していた参加の海賊団船長、スクワード。
頭の中がごちゃごちゃで思考回路が急停止していくのを感じる。一気に熱が冷えて動力ダウンしていくような感覚。
同時に思い出した、黒ひげティーチと対峙した時の記憶。
なぜ仲間が、仲間だと思ってた人たちが大事な人達を奪おうとするの。
足の力が抜けそうになるのを何とか耐えながら愕然とする。目を逸らしたくとも信じ難い光景から目を離すこともできず呼吸が苦しくなるだけだった。
スクワードは親父が傘下の海賊団を売って白ひげ海賊団をエースの命を買ったんだと言った。
海賊王ロジャーに因縁のあったスクワードはその心を利用され海軍の思うままに動かされてしまったのだ。
どこまでも心も慈悲もない連中だ。
海賊になら何をしてもいいと思ってる、正義という自分たちの都合のいい言葉を掲げて搾取する、一体海賊と海軍どちらが悪か分かったもんじゃない。
『親父ィィィィイ！！』
「待てアイリン！親父なら大丈夫だ…！あの程度で死んだりしねェ」
『でもッ…でもッ親父が…刺されて、死んじゃ』
「アイリン！」
パニックになっている私をイゾウさんは後ろから押さえつけるように抱きしめる。
親父しか映ってなかった視界がだんだん開けてきて呼吸も戻ってくる。
「アイリン、おめェに心配されることのこっちゃねェ。安心しろ、俺は死なねェよ」
遠目から私の様子が見えたのだろう。
いつも通りの親父の声に正気に戻る。
『ごめん、ありがとう。イゾウさん、親父。
もう、大丈夫』
親父から目を離し前方に戻す。
ここまでそれなりに敵を倒して来たはずなのにまだまだエースは遠い。
『行こう』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 248人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葵(プロフ) - シベリア送りにすんぞさん» シベリア送りにすんぞ様ご指摘ありがとうございます。完全に見落としてました。修正しました！ (2022年12月28日 23時) (
レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - なこさん» なこ様前作に引き続きコメントありがとうございます！今後もきゅんきゅんしていただきつつ、頂上決戦の展開も楽しみにしていただけたらなと思います。これからもこの作品をよろしくお願い致します！ (2022年12月28日 0時) (レス) id: c7e0276671 (このIDを非表示/違反報告)
シベリア送りにすんぞ(プロフ) - 素敵な作品のところすみません…オリジナルフラグたってます…！ (2022年12月27日 23時) (レス) id: 2d0c104609 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます！２人のいちゃいちゃに、またしてもきゅん♡させて頂きました！！頂上決戦ということは、やはり原作と同じ流れになるのでしょうか…結末も含めて物語の展開に、楽しみにしつつ、これからも応援しながら読ませていただきます！！ (2022年12月27日 22時) (レス) @page3 id: 1d7515ff1e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葵 | 作成日時：2022年12月27日 15時
