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隣で寝息を立てるアイリン。
頭をそっと撫でると安心したような顔を見せる。
そんな彼女に昔のことを思い出していた。
＊
ダダンの娘としてずっと山で過ごしていたアイリンは物心着く頃から一緒に暮らしていた。
アイリンは3つ上。当時の俺からすると自分より背も高いアイリンはずっと歳上に見えた。
俺が傷だらけで帰ってくる度に叱りつけながらも丁寧に手当してくれたアイリンに怒られる度に反抗してしまったが、彼女は簡単に俺の特攻を防ぎ、躱し、往なす。
何回も挑んだけど1度も勝てることの無いままだった。
俺が10歳の時。
海賊ブルージャムの金に手を出して怪我をして帰った時。
『またこんな傷！今度は何したのよ！』
「うっせぇ！お前には関係ねェだろ！」
『姉に向かって何よその口の利き方は！』
「アイリン！エースは俺を助けてくれたんだ！海賊から守ってくれたんだ！！」
「おまっまた余計なことを！」
『……海賊ってどういうこと？』
低くなったアイリンの声にまずい、と思ったサボがことの経緯を話す。
『その金に手を出したのは誰？』
「…俺だよ！んだよ、文句あんのか」
パシッ
目の前にあったはずのアイリンの顔が見えなくなったのは俺の首が横に弾かれたから。
時間差でヒリヒリと痛み始める頬に平手打ちを食らったことを理解した。
「何すん」
『馬鹿じゃないの！！』
その日のアイリンはいつもの様子とは少し違った。
『あんたなんでそうやって死に急ぐの！海賊相手に逃げなかったのもそう！
いつもいつも怪我してくる度に私がどんな思いでいると…ッ！』
長くアイリンと一緒にいるが彼女の涙はそう何回も見たことがなかった。
『死んだら何も果たせない。どんなに夢を語って資金を集めようと何も成せないまま無に帰る。
何より…あんたが死んだら悲しむ人がいるの！分かってよ…！！』
俺のためを思って言ってくれてるのは幼いながらに理解した。けど俺は、どうしても素直にはなれなかった。
「ッ関係ねェって言ってんだ！女のお前なんかに俺の気持ちがわかるかよ！！」
『…さっさと風呂入って寝なさい。手当は自分たちでやりな』
アイリンはそれ以上何も言わず家の中に入っていった。
サボに言い過ぎだと窘められたがその時は気に止めてもいなかった。
翌日、お前はブルージャムの一員に攫われた。
＊
もう誰にもお前を傷つけさせねェ。
俺はもう一度彼女の頬を撫でた。
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葵(プロフ) - シベリア送りにすんぞさん» シベリア送りにすんぞ様ご指摘ありがとうございます。完全に見落としてました。修正しました！ (2022年12月28日 23時) (
レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - なこさん» なこ様前作に引き続きコメントありがとうございます！今後もきゅんきゅんしていただきつつ、頂上決戦の展開も楽しみにしていただけたらなと思います。これからもこの作品をよろしくお願い致します！ (2022年12月28日 0時) (レス) id: c7e0276671 (このIDを非表示/違反報告)
シベリア送りにすんぞ(プロフ) - 素敵な作品のところすみません…オリジナルフラグたってます…！ (2022年12月27日 23時) (レス) id: 2d0c104609 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - 続編突入おめでとうございます！２人のいちゃいちゃに、またしてもきゅん♡させて頂きました！！頂上決戦ということは、やはり原作と同じ流れになるのでしょうか…結末も含めて物語の展開に、楽しみにしつつ、これからも応援しながら読ませていただきます！！ (2022年12月27日 22時) (レス) @page3 id: 1d7515ff1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2022年12月27日 15時
