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やっと顔を上げた彼女は彼らに気づいた。
『あ、みんな！いたんだ！ちょっとこの靴歩きづらくてわっ』
いつも以上にバランス感覚の取りづらい靴にアイリンはすぐよろけてしまう。
倒れる、そうアイリンが覚悟しギュッと目を閉ざした時前から手を引かれ後ろの腰にもう片方の手が添えられた。
「大丈夫か、アイリン」
『あ、ありがとう。イゾウさん』
その2人の姿はまるで七夕伝説に出てくる彦星と織姫。
あまりに絵になる2人の姿にエースは少し目を逸らした。
好きなやついねェって言ってたけど、イゾウのこと好きなんじゃねェのか。
ずっと一緒だし、手も腰も触られても嫌そうにしねェし、あいつのタイプのおとなっぽい男って…
もう一度目線を戻すと楽しそうに笑い合うアイリンたち。
見たくなくて食いかけの肉を酒で流し込む。
あれ、肉も酒もこんなに味しなかったっけ？
いつの間にか酔ってたのかもしれないな、休んだ方がいいかもしれない。
「親父に見せに行くんだろう？親父の所まで連れてってやろうか？」
『え、ありがとう』
見たくない。
もう見たくない。アイリンが別の男と並んでるとこなんて。
これが嫉妬ってやつか。
腹が空いているわけでもねェのにぐるぐると嫌な感じが腹の底を蠢く。胸の奥が締め付けられる。
もう、部屋戻ろうかな。
『エース？』
でもやっぱりお前は鳥のさえずりのような声で俺の名前を呼ぶんだ。
○
この靴であの酒瓶と酔っぱらいの転がりまくるけもの道を歩くのは心もとなかったので助かる提案だった。
けど、ちらりと見えたエースの不機嫌そうな、今にも泣き出してしまいそうな顔にその誘いを断ってしまった。
『イゾウさん、ごめんやっぱり大丈夫。その役は
エースにやってもらうから』
慣れない靴でエースの前まで行くと彼は下を向いたままだ。
しゃがみこんで彼の顔をのぞき込むように声をかけた。
『エース？』
「あ、アイリン…」
『やってくれる？私のエスコート』
「は？」
『だから、私を親父のとこまで連れてってくれるって聞いてんの』
エースは未だ目を白黒させて状況を測りかねているようだった。
えっと、とかあっしか答えないから立ち上がろうとすると勢いよく手が伸びてきた。
「だ、だめだ！！」
「おれが、行く」
さっきまでの目の濁りが消え、いつもの真っ直ぐな目に戻った。
やっぱり、この目が好きだなぁ。
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葵(プロフ) - なこさん» なこ様コメントありがとうございます！キュンしていただけて何よりです！エースとのお話、まだまだお届け出来ればなと思ってますのでこれからもこの作品をよろしくお願い致します！ (2022年12月26日 8時) (
レス) id: c7e0276671 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - いつも楽しませていただいております！！ついにヒロインがエースに想いを伝えて♡キュンさせて頂きました♡♡♡これからも応援しています！！ (2022年12月25日 22時) (レス) id: 1d7515ff1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2022年12月4日 17時
