-32- ページ34
イゾウさんを寝かせ、その顔を覗きみれば随分と整った顔が歪んでいた。
いつからこんな、体調悪かったんだろう。
自分の傷を止血しながらその苦しそうな顔を見ることしか出来ない自分に嫌気がさした。
コンコン、とノックが響き包帯を持ってきたと隊員が入ってきた。
ありがとう、と受けとりまた元の場所に戻ってもなかなか扉は閉まらない。イゾウさんでも心配しているのかともう一度ドアの方を見ればさっきより人が増えていて俺が俺がと顔を覗かせるようにしていた。
そしてその目的がイゾウさんではなく、自分にあることも理解した。
『ふっ……ヘンタイ』
「ッな！！おま、アイリンてめェがそんなカッコしてるからだろ！」
『お腹怪我してんのに服脱がないでどうやって手当しろっての』
確かに今の私は前開きの服を全開にしているため下着とそれが丸見えだった。
状況分かってんのか、と思うほど男という生き物の知能の低さには呆れる。
『…よくこんな傷だらけの身体で興奮できるね』
病人がいるというのにギャーギャーと騒いでいた男たちがピタッと声を閉ざした。
言葉通り、私の体には服で隠している傷が無数にあった。それは戦いによるものよりドレイの時に意図的に付けられたものが多くとても綺麗な身体とは言えないものだということは自覚していた。
『…別に私は、あんたたちなら裸くらい見せられるよ。
命預けて戦ってる、仲間だもん。
このキズも受け入れてくれるあんたらだもん、別に、いい…』
またキズが増えたなぁと止血しながらぼんやり思う。
まだ静かなままだなと思っていたらどっとまだうるさくなる。
「すまねぇアイリン！！俺たちが間違ってたよォ！！仲間が怪我してる時だってのに俺ァッうおおおお」
「悪かったァアイリン！お前の過去も知っておきながら俺らはうっうぅぅ…くぅぅ！」
「すまねェ！大丈夫だ！俺はアイリンがどんな体でも興奮するし裸も見てェ！！」
『うるっさいなオマエら！イゾウさん寝てんだってば出てけ！
最後のやつは素直でよろしい！でも今度な！！』
無理矢理部屋から押し出しようやくまた静かな空間に戻った。
イゾウさんが聞いてたら、若い女がそう易々と身体を見せるなって怒られそうだな。
薬を塗って包帯を巻いていく。
本船に戻ったらマルコに説教受けながら変えてもらうしかない。
うわ何それ最悪じゃん。
荒れた海の中時間だけがゆっくりと着実に流れていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 323人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葵(プロフ) - なこさん» なこ様コメントありがとうございます！キュンしていただけて何よりです！エースとのお話、まだまだお届け出来ればなと思ってますのでこれからもこの作品をよろしくお願い致します！ (2022年12月26日 8時) (
レス) id: c7e0276671 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - いつも楽しませていただいております！！ついにヒロインがエースに想いを伝えて♡キュンさせて頂きました♡♡♡これからも応援しています！！ (2022年12月25日 22時) (レス) id: 1d7515ff1e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葵 | 作成日時：2022年12月4日 17時
