26.愛しい人 ページ36
大きな音と揺れで目を覚ました。
どうやら俺は戦闘中に気を失っていたらしい。
「待て」
「気がついたかトラファルガー！」
「俺を、置いていけ…！」
13年、ドフラミンゴを討つために生きていた。
コラさんの本懐を遂げるために。
今日俺が生き延びようが、死に絶えようが全てが終わる。
ならせめて、俺が託したあの麦わらのそばに最後まで居たかった。
「トラ男くん、私はルフィを信じてるからあなたがドフラミンゴに殺されることは無いと思うけど…
死んじゃダメよ。あの子、アイリンはここに落ちてきた時自分よりあなたの心配をしたのよ。ローを助けてってそれだけ言ってまた眠ってしまったけど、それだけあなたのこと思ってるの。
そんなあの子を置いて死んだら私も許さないわよ」
「ッ…アイリン、あいつは、今どこに…？」
「キュロスが抱えているわ。でもあなたがここに残るならあの子は…」
「いや、アイリンは…下に、できるだけ、ドフラミンゴから遠ざけてくれ…」
「分かったわ。でもあの子あなたの腕を大事そうに抱えてるのよ。
トンタッタのみんなが腕を治してくれると言っていたから腕はここに置いていくべきね、少し待っていて」
ここまで来て、自らの手でドフラミンゴを討てなかったことに悔しさが滲む。
できることは全てやったと思うがそれでも思わずにはいられなかった。
しばらくすると物理的に視界が遮られた。王宮を登る途中同じ馬に乗っていた兵隊の男だった。
「連れてきたぞ！一旦下ろすか」
「えぇ、お願い」
「お前ら…」
「アイリンの顔が見たいって顔してたわ。腕も返してもらわなきゃだしね」
顔を横に向けると大事そうに俺の腕を抱きしめ、その手を繋いだまま眠るアイリンがいた。
残った左手ですっと頬を撫でてみればはらりと綺麗な髪が重力のままに落ちてきた。それを払ってもう一度撫で、自分の腕をアイリンの腕から取り上げた。
「俺の腕、守ってくれてありがとな、アイリン」
二コ屋は麦わら屋は負けないと言っていたがまだ分からない。もう二度と会えないかもしれない。
俺は自分の帽子をアイリンに被せた。眠る彼女の頭を帽子越しに撫でてやる。
「ありがとな、アイリン
…こいつを頼む」
「あぁ！任せろ！！必ず守る！！」
「トラ男くん、キャベツくん、レオたちも、また後で会いましょう！」
去りゆく背中を眺めながらアイリンが抱きしめていた自分の腕をぐっと握りしめた。
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葵(プロフ) - つばめさん» つばめ様コメントありがとうございます。続編でゾウ編やワノ国編も少し書けたらなと思っていますのでよろしければ今後ともこの作品をよろしくお願い致します！ (2022年12月6日 10時) (
レス) id: c7e0276671 (このIDを非表示/違反報告)
つばめ - 読んでいて楽しいです この後の彼らの絡みやゾウ編ワノ国百獣海賊との決戦編などいろいろ見たいです (2022年12月5日 23時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 朔さん» 朔様コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しい限りです！今後ともこの作品を何卒よろしくお願いします！！ (2022年12月3日 8時) (レス) id: c7e0276671 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - はじめまして！とてもおもしろいです！続きがすごく気になります！無理のないよう、これからも更新頑張ってください！応援してます^_^ (2022年12月3日 0時) (レス) @page41 id: e897ea96c1 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - うささん» うさ様コメントありがとうございます！とってもありがたいお言葉励みになります！今後ともこの作品をよろしくお願いします！ (2022年12月1日 8時) (レス) id: c7e0276671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2022年11月16日 19時
