33.自由を生きる海賊 ページ43
「受けた愛に理由などつけるな！」
「ッ！！」
さて、と
さっきまでおかきをもしゃもしゃ食べてたとは思えない静かな眼光を今度は私に向けるセンゴク。
そろそろ、時間かな。
「アイリンよ、お前さんをここに連れてきたのはロシナンテの願いを叶えるためでもある」
『…？』
「ロシナンテは報告の時、聞いてもいないのに口を開けばアイリン、アイリンと…それだけお前を大事に思っていた。
そんなロシナンテがお前に願ったのはただ1つ。
自由になって欲しい」
『ッ！？』
「アイリン、お前にとっての自由とはなんだ？
海軍に来るなら、保護という名目でお前を引き受ける。
ファミリーは崩壊した上に必要な情報ももう既にもらった。
お前の足を治せるかは分からんが、治せずとも義足を作って貰えるようベガパンクにかけあおう。
この島に残りたいと言うならそれでもいい。
1番勧めんがローについて行きたいと言うなら、今回だけは目を瞑ろう。
今ここで選べ」
私にとっての、自由…
私の、答え……
「アイリン」
「答えを出すのに迷ってんなら俺は、待たねェぞ」
“Room”
「シャンブルズ」
ぱっと景色が変わったかと思えば、自分を包む圧迫感と体温。
あったはずの支えを失いそのまま崩れ落ちそうになるからだを抱きしめる長い腕。
少し目線をあげれば私を眼を捉えて離さないグレーの瞳。
「悪いが俺は、お前に言われなくてももう自由に生きてる。自由になってないのはお前だろ。
お前が海軍について行くと聞いた時、それもお前の自由だと思いたかったが、やっぱり気に食わねェ。
俺は海賊だ。欲しいものは奪っていく。
お前も、お前の自由も、
俺にくれねェか？アイリン」
ニヤと笑ったその顔にもはやあのころの面影はなかった。
世界に絶望し、全てを壊したいと憎んでいた彼じゃない。
本当は寂しくて、ひとりが怖かった臆病な彼じゃない。
私を攫いにきた海賊だ。
「まぁ、嫌だって言われても連れていくつもりだがな」
そういうとヒョイと私を横抱きにして、ちょっと持ってろと自分の刀を私に持たせた。
私はあれよあれよと状況を理解する間もなく連れ去られてしまったのだった。
「お前たちは自由に生きればいい。
お前がここにいたらきっと笑ってるんだろうな、ロシナンテ」
去っていった少年少女の姿をセンゴクはただただ見送っていた。
あとでおつるにドヤされるなぁと少し冷や汗を掻きながら。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 328人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葵(プロフ) - つばめさん» つばめ様コメントありがとうございます。続編でゾウ編やワノ国編も少し書けたらなと思っていますのでよろしければ今後ともこの作品をよろしくお願い致します！ (2022年12月6日 10時) (
レス) id: c7e0276671 (このIDを非表示/違反報告)
つばめ - 読んでいて楽しいです この後の彼らの絡みやゾウ編ワノ国百獣海賊との決戦編などいろいろ見たいです (2022年12月5日 23時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 朔さん» 朔様コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しい限りです！今後ともこの作品を何卒よろしくお願いします！！ (2022年12月3日 8時) (レス) id: c7e0276671 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - はじめまして！とてもおもしろいです！続きがすごく気になります！無理のないよう、これからも更新頑張ってください！応援してます^_^ (2022年12月3日 0時) (レス) @page41 id: e897ea96c1 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - うささん» うさ様コメントありがとうございます！とってもありがたいお言葉励みになります！今後ともこの作品をよろしくお願いします！ (2022年12月1日 8時) (レス) id: c7e0276671 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葵 | 作成日時：2022年11月16日 19時
