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戻ってきた船内は異様な空気感だった。
そりゃそうだ、何も関係なかったはずの戦地に出向こうと言うのだから納得できないクルーもいるはずだ。
「言っておくが、俺たちが行くのはマリンフォードの近海までだ。そっからは自分でいけ」
「ちょ、キャプテン！！」
「お前のために俺たちが命をかける義理はねェ」
『充分すぎです。ありがとうございます』
彼は一船の船長だ。クルーの命を私ごときのために危険に晒すようなことはしないだろう。
だが彼はその分付け焼き刃でしかないが、マリンフォードという島の構造、海軍三大将、王下七武海について簡単に教えてくれた。
その知識の浅さでよく生きてこられたな、と呆れられたがまぁこの世界ひと月も生きてないんで、とは言えなかった。
「そろそろだよ、キャプテン！」
「…あぁ」
甲板に出てみるとだだっ広い海の上、いくつかの髑髏が見えた。
「こいつらも戦争の行く末を見に来た感じか…」
「だろうな。じゃなきゃこんな場所に海賊が近づくわけねェよ」
足にはまだ違和感が少し残る。ギリギリまでアイシングをして、ストレッチとウォーミングアップは念入りに行う。学生時代は運動部だったし、ジムでも毎回やっていたことだから身についてる。
…あったまったな。
「A」
『えっ』
トラファルガーさんに初めて名前を呼ばれ思わず声がとび出た。いつもより二割増しかめっ面の彼は私に近づいてきて、何かをこちらに飛ばした。
『わっ』
「…鎮痛剤だ、飲んでおけ。再三言うがお前の足はまだ治ってねェ。次壊せば前よりも痛みは強くなり、後遺症が残る可能性もある。海の上で再発すれば能力者のお前は助からない」
彼なりの心配なのだと理解した。
この人とクルーのみんなには本当に良くしてもらった。返せるものなど何も無い私を受け入れて、世話をかけた。
ありがとう、なんて言葉じゃ軽すぎる。
『ご忠告、ありがとうございます。でも、じゃあ辞めますとかダサすぎだし、言うつもりもありません。ただ、肝に銘じておきます。
短い間でしたが本当にお世話になりました。このご恩は一生忘れません。もし、私に命があったなら、必ず返しに来ます』
「A…」
『ペンギンさんと皆さんに拾ってもらったこの命、決して無駄にはしません』
行ってきます
足に神経を集中させると次第に熱を持つ。
振り返らず船を飛び出したその時、死ぬな、と低く呟く声が風に乗って耳に届いた。
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葵(プロフ) - 十六夜紅葉@斎藤一推しさん» 十六夜紅葉様、前作に引き続きコメントありがとうございます。応援とても励みになります！これからも楽しんでいただけるようなお話を更新していきますので宜しくお願い致します！ (2023年4月1日 21時) (
レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
十六夜紅葉@斎藤一推し(プロフ) - 続編おめでとうございます！面白いですね！これからも更新頑張ってください！！ (2023年3月31日 9時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2023年3月30日 13時
