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厳しい目で私を見下ろすトラファルガーさん。その目を逸らすまいと強く見返す私。
『ここで黙って見てられるほどの精神力は無いです』
「無謀だと言うのが分からねェほど馬鹿だとは思わなかったんだがな。大体、場所がわかったところで船も持ってねェお前にどうやってマリンフォードへ行く術がある？」
『私なら海を走れます』
「言ったはずだ。完治する前に無理をすれば再発の危険が高まると。日常生活ができるようになったからって勘違いするな、あと一週間は安静に」
『嫌です』
「お前ッ…！」
トラファルガーさんの言い分はきっと正しい。
こんな小娘ひとり、何万人もの鍛えられた精兵がひしめく戦場に飛び込んだところで何分命が持つかどうか。
だけど、私はこの感情が間違ってるとは思わない。
私は諦めの早い性質だった。
どうせだめだ、この人はきっとこうだ、最後まで足掻くなんてことはしてこなかった。凛ちゃんの時もそう、最初の人生が終わる時も…
だってその方が楽だ。苦しまなくて済む。
そんな人間が唯一、どうしても諦めきれないとすればここしかないのだ…！
『今行かなきゃ後で苦しむから…ッ！心が壊れて苦しむくらいなら今、体をぶっ壊してでも行きます』
「…奇跡的に足を壊さずマリンフォードへ行けたとして、その先はどうするつもりだ。
てめェ程度があの中に飛び込んだって一瞬で踏みつけられて終わる、無駄死にだ」
『命なんてあとでいいです』
「ッもうやつは死刑囚だぞ！なぜお前そこまで…」
『だってもう、失いたくないッ！！』
他人より、色んなものを失ってきた人生だ。
父も、祖父母も、母もそう。今なんて手元に何もない、私の事なんて誰も知らないような世界にひとりだ。
エースまで失ったら私、何も残らない。
あれが最後なんて嫌だ。このまま会えず終いで彼がいなくなったら私は後を追ってしまう。
ならばもういっそ、こんな所で祈るより私はそこに行きたい。
海軍本部がなんだ？知ったことじゃない、大切な人を奪おうとする悪魔が…！
白ひげが来たぞおおお！
群衆からまた声が上がり、モニターに目を移すとそこには巨大なあの船がいた。懐かしい顔が揃った彼らはなんと頼もしいことか。
「…白ひげだ。あそこは今、世界で一番危険な場所になる。それでもお前は火拳屋を助けに行くのか」
『助けに行く？私程度にそんなことできる力ありませんよ。
ただ私は、
恋人に逢いに行きたいだけです』
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葵(プロフ) - 十六夜紅葉@斎藤一推しさん» 十六夜紅葉様、前作に引き続きコメントありがとうございます。応援とても励みになります！これからも楽しんでいただけるようなお話を更新していきますので宜しくお願い致します！ (2023年4月1日 21時) (
レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
十六夜紅葉@斎藤一推し(プロフ) - 続編おめでとうございます！面白いですね！これからも更新頑張ってください！！ (2023年3月31日 9時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2023年3月30日 13時
