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彼はこの量が普通だったんだ。
私と生活してた時の量はこの10分の1程度だった。
…足りるわけ、ないじゃん。
『エース…ごめ』
「謝るな、A」
私の言葉を遮ったエースは強い目をしていた。
でも、これは…ちょっとクるな…
『…言えなかったよね。私が最初にお金ないって言ったからこれじゃ足りないなんて、言えないよね。エースは、優しいから…』
「ッ違う」
『お腹、ずっと空いてたんだ…私、知らなくて…いや、私に気づかれないようにしてくれてたんだね…ッ！私が、罪悪感を感じなくて済むように…ずっと隠してくれてたんだ』
「…ッ」
『いつも似たような献立ばっかで、全部安い材料で、お昼ご飯なんて夕飯の残り物か栄養もへったくれもないカップラーメンで…こんな豪華なご飯なんて、1回も出してあげられなくて…』
「ッA」
『ごめん…いっぱい、我慢させたよね…ッ！ご飯の量も、質も、メニューも…うちが貧乏でお金ない、からッ、2週間、ずっと辛かったよね…ごめん、ね…ッ！』
「…やめろ」
『ッエースは食べるの好きなのにね、お腹減ったままなのきつかったでしょ…？私が、もっとお金持ちだったら…
いや、エースを拾ったのがもっと他の人だったらよかっ』
「やめろって言ってんだろッ！！」
ガタンっ、と椅子が倒れる程勢いよく立ち上がったエースは初めて私に怒鳴った。
騒がしかった食堂が一気に静まり返り、注目が自分たちに集まっているのがわかった。
多少は、我慢させてるだろうなと思ってた。
でもお金が無いからと一般の成人男性よりきっと少し少ないくらいの量で我慢してもらっていた。それでも、自分はそれなりにエースを満足させてあげられていると、勝手にそう思い込んでいた。
全然そんなこと無かった。
この量が普通の人があんな少量では倒れてもおかしくなかったのではないか。大した腹の足しにもならなかったのではないか。
空腹も、我慢も、耐えるのは辛いことだ。
私だってそれはよく分かっていたのに、いたはずなのに…
エースはテーブルを飛び越えると、座ったままの私を見下ろす。怒鳴られた私は怖さと情けなさと悲しさで彼の顔を見返せなかった。
「そんなこと、冗談でも言うなよ」
怒鳴り声とは打って変わった弱々しい声が耳元で聞こえた。それと同時にぎゅっと強く太い腕に閉じ込められた。
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葵(プロフ) - 十六夜紅葉@斎藤一推しさん» 十六夜紅葉様、前作に引き続きコメントありがとうございます。応援とても励みになります！これからも楽しんでいただけるようなお話を更新していきますので宜しくお願い致します！ (2023年4月1日 21時) (
レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
十六夜紅葉@斎藤一推し(プロフ) - 続編おめでとうございます！面白いですね！これからも更新頑張ってください！！ (2023年3月31日 9時) (レス) id: 25ee4b6236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2023年3月30日 13時
