○ ページ44
その実の名前は…
『ジェトジェトの実…？』
「なんだそれ」
『私に聞かないでよ。
えっと、〈足にエネルギーを貯め爆発的に加速させることが出来るジェット人間。普通の人間には出せないほど高速で移動することが可能で最高時速は500km/h〉…500キロ！？新幹線より早いじゃん！！』
「へー、つまり足が早くなる能力っつーことか」
『まぁ簡単な話そうだね。なんかかっこよくないなぁ…
ほらこの〈オペオペの実〉改造自在人間だって、何それかっこよ』
「最近ルーキーにこの能力者がいるって聞いたなぁ…」
『どうせならそういうかっこいいのが良かったなぁ』
「俺のもかっけェだろ？」
『うん、ちょっと怖いけどね』
「…まぁそうだよな」
少し落ち込んでしまうエースが純粋すぎてやっぱりおばちゃんは心配だ。冗談のつもりだったんだごめん。
とにかく私はジェトジェトの実を食べてしまったことが分かっただけでも大きな収穫だ。とにかく今は暴発を防ぐことと、ある程度使いこなせるようにならないとさっきみたいに生活に支障が出る。
少々文句は言ったが特殊能力なんて誰もは一度は憧れるもの。少しだけウキウキしてしまうのも仕方あるまい。
目的も果たしたところで一旦家に帰るか、と本を元あった棚に戻した時だった。
その数段下にあったある本が私の視線をかっさらった。
《異世界旅行記》
小説なのか、はたまた誰かの日記なのか、それとも本当に異世界旅行の記録なのか。
背表紙に筆者の名前はなく、ただシンプルなその6文字だけが私の視線を奪った。
自分が異世界から来たからか、いやそれだけではない何かが引力になるようにその本に手を引かれた。
「おい、A何やってんだ？帰ろうぜ」
『え、あ…うん。今行く』
「気になる本でもあったか？」
『いや、なんでもない。行こ』
何故かあの本は私だけが知っていればいいと思ってしまった。彼も異世界に行ったことがある人間、話してもよかっただろうに。
何故か話す気にはなれなかった。
後ろ髪を引かれる思いではありつつ図書館を後にした。
ビュンッ！！
『びゃぁぁぁあ！！！』
「Aッ！？」
帰り道、再び能力が暴発して色んなものを蹴散らしながら、真っ直ぐ大木に激突したのはまた別の話。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 256人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るな - ジェトジェトの実最高すぎますめっちゃ笑いました！笑 お話も面白いです♡ (1月4日 5時) (
レス) @page44 id: 48ff4530aa (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - しのさん» しの様コメントありがとうございます。ありがたすぎすお言葉です！これからも世界観を壊さず読みやすいお話を心がけて頑張りますのでよろしくお願いします！ (2023年3月21日 7時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
しの - 世界観が良くて話も読みやすく面白くて好きです！特に夢主ちゃんの優しさと健気さに心打たれました。更新ゆっくり待ってます！ (2023年3月19日 22時) (レス) @page17 id: 47a7886cb6 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - まるさん» まる様ご指摘ありがとうございます。修正致しましたがまたなにかお気づきのことがあればご指摘頂けるとありがたいです。今後ともよろしくお願いします！ (2023年3月15日 11時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 黒豆粉さん» 黒豆粉様、コメントありがとうございます。今後の展開も楽しんでいただけるように頑張りますので引き続きよろしくお願いします！ (2023年3月15日 10時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葵 | 作成日時：2023年3月12日 14時
