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ふざけんな、こんなタイミングで火事なんて運が悪いで収まる話じゃない。
灰皿のあったあたりから燃え広がってるから発火原因は恐らくタバコの不始末。それは部屋の唯一の出入口の方で退路は既に炎によって絶たれていた。残るはあの窓しかない。
『ごほ、ま、ま…動ける…？』
私の拘束を解こうとする母に問いかける。
私は足は直ぐに外せるような紐で固定してあったが、手首の方は手錠が嵌められていた。正気に戻った母は必死に外そうと試みてくれているがもうあんな馬鹿力出せないし、なんならすでに体力の限界が近い。
…助からない、かもな。
「とれ、ない…ッ！」
『もういいよ、ママ。私は大丈夫だからママはあの窓から先に外に出て』
「Aを置いていけるわけないじゃない！馬鹿なこと言わないの！きっと鍵を探せば…ごほごほッ…」
『口塞いで、あまり煙吸わないで。ママだけなら、助かる、かも…』
「馬鹿なこと言わないでって言ってるでしょう！？Aまで失うくらいなら死んだ方がまし！げほっごほごほっ」
『ママ…けほ…』
たしかに酷なことを言ってる自覚はある。
旦那を殺され、私を心の拠り所にしてくれていた母からそれすら奪うくらいならいっそ一緒に死んだ方が彼女は幸せなのかもしれない。
それでも死んで欲しくないと思う。娘だもの。
でももうほんと、冗談抜きで死にそう。
熱気で肌が痛い。目には煙が染みて息もできなくなってきた。酸素が足りない。
『ままぁ…お願い、もう私…だめだか、ら』
「ごほっごほ…けほ…そんな、こと…」
体を動かすことすら出来なくなっていく。母も自分の体を支えることすら辛そうに見える。
きっと本当に死ぬんだ、私たち。
炎がもうそこまできてる。
目の前が赤く染まって恐怖を通り越して虚無感が支配する。
ガタン！ガゴッバキッ！
木造の家が音を立てて瓦礫に変わっていく。
息をする度に喉が火傷したように痛むからもう声も出せない。
きっと母も同じで、もうその頃には私の手を握りしめたまま声を出さなくなっていた。
あぁ、これが走馬灯ってやつかな。死ぬと分かったら色々思い出してしまう。
色々思い出すし、やり残したことも多い。
でも、一番頭に浮かんでくるのは…
ガシャンッ！！
意識が炎に呑まれる直前、壁にかかっていた時計が床に落ちて割れた。
針が真上を少し過ぎた時計だった。
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るな - ジェトジェトの実最高すぎますめっちゃ笑いました！笑 お話も面白いです♡ (1月4日 5時) (
レス) @page44 id: 48ff4530aa (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - しのさん» しの様コメントありがとうございます。ありがたすぎすお言葉です！これからも世界観を壊さず読みやすいお話を心がけて頑張りますのでよろしくお願いします！ (2023年3月21日 7時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
しの - 世界観が良くて話も読みやすく面白くて好きです！特に夢主ちゃんの優しさと健気さに心打たれました。更新ゆっくり待ってます！ (2023年3月19日 22時) (レス) @page17 id: 47a7886cb6 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - まるさん» まる様ご指摘ありがとうございます。修正致しましたがまたなにかお気づきのことがあればご指摘頂けるとありがたいです。今後ともよろしくお願いします！ (2023年3月15日 11時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 黒豆粉さん» 黒豆粉様、コメントありがとうございます。今後の展開も楽しんでいただけるように頑張りますので引き続きよろしくお願いします！ (2023年3月15日 10時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2023年3月12日 14時
