○ ページ27
『んぐ、んううう！ぬぅ…ぐ…』
「はぁ…はぁ…
ごめんね、Aちゃん。痛かったね。でも恨むならお父さんを恨むんだ。俺から茜さんを奪い、何も守れず死んでいった無様な男をね」
お父さん、この男に殺された時どんな気持ちだったんだろう。
最後に何を考えたんだろう。
悔しかっただろうな、こんな男に殺されるなんて死んでも死にきれなかったろう。きっと最悪な気分であることに違いは無いのだ。
私も、多分同じ気持ちだ。
ガタンッ！！
「んがぁぁあ！あ"ぁぁぁあ！！」
「ッは！？」
母が縛られた椅子ごと立ち上がり暴れ始めたのだ。頭を振り乱しすぎて噛まされていた猿轡も解けキンキンと頭に響く声で叫び散らすもその声に意味をなす言葉は無い。
そして今彼女は椅子をガコン、ガコンと床に打ち付け椅子を破壊しようとしている。普通の女、それもほとんど病院にいる体力もない女にそんなことは不可能だ。
だけど、今のママは…
バコン！
「嘘だろ！？茜さ」
「うがぁぁあ！！！」
「ッくそ…落ち着、やめろ…っ！！」
リミッターが外れて本来人間が出せないはずの力を引き出している。所謂、火事場の馬鹿力ってやつだろう。多分正気を失ってる、このままじゃ母自身が危ない。
私が死ぬ前にママが死んじゃう…！
「ッ茜さん！くそ、こうなったら…
悪く思わないでね、君が悪いんだからね」
そういった男の手にはいつの間にか短い柄の小刀があった。
必死に声を荒らげるも意味もなく虚空に消えていく声に無力さを突き立てられる。出せる限りの力で首を大きく振り回していると口に挟み込まれていた布が緩んでほどけた。
『ッママ！！』
「ッがぁあ"ぁぁあぁあああ！」
「大丈夫、殺しはしないからね！軽く足を刺しただけ。
そうすればもう君は俺に縋るしかない！！抵抗どころか俺がいないと生きて行けなくなる！」
『ママッ！！ママぁ！！』
母はその場にドサッと膝を着く。
痛みで幾分か正気が戻ったかと思ったがそうでもない。それどころかあろうことか彼女は自分の足に刺さったそれを力任せに引き抜いたのだ。
傷口を塞ぐものが消えたそこから黒々と液体が滲んでいくのが見えた。あんな出血放っておいたら致命傷だ。
どうにか傷を
ザシュ
「ッぐ……かは、あ、かねさ…」
たった数分の出来事だった。
その数分でいつの間にかこの部屋は吐き気がするほどの赤に染め上げられたのだった。
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るな - ジェトジェトの実最高すぎますめっちゃ笑いました！笑 お話も面白いです♡ (1月4日 5時) (
レス) @page44 id: 48ff4530aa (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - しのさん» しの様コメントありがとうございます。ありがたすぎすお言葉です！これからも世界観を壊さず読みやすいお話を心がけて頑張りますのでよろしくお願いします！ (2023年3月21日 7時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
しの - 世界観が良くて話も読みやすく面白くて好きです！特に夢主ちゃんの優しさと健気さに心打たれました。更新ゆっくり待ってます！ (2023年3月19日 22時) (レス) @page17 id: 47a7886cb6 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - まるさん» まる様ご指摘ありがとうございます。修正致しましたがまたなにかお気づきのことがあればご指摘頂けるとありがたいです。今後ともよろしくお願いします！ (2023年3月15日 11時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 黒豆粉さん» 黒豆粉様、コメントありがとうございます。今後の展開も楽しんでいただけるように頑張りますので引き続きよろしくお願いします！ (2023年3月15日 10時) (レス) id: d6d31879de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 | 作成日時：2023年3月12日 14時
