13日の金曜日、上裸の男が家にいた・続【ONEPIECE】【ポートガス・D・エース】

● ページ16

翌朝

朝と言っても起きたのはもう昼頃だった。今日も今日とてなんだか船が騒がしい。



「エース隊長！おはようございます！」

「おー、はよ。なんだってこんな騒がしいんだ」

「それがこの島を海軍に嗅ぎつけられたようで、出航の準備をしてるところで」

「………はっ！？」



ちょ待て待て待て、Aのビブルカード！！
俺は10分で戻る、と部下の制止も聞かずまたモビーを飛び出した。


昨日と同じルートを走り、古びた骨董品屋を目指す。昨日は陽が傾いて薄暗かったが、陽に照らされた店は少し印象が変わって見えた。



「おやっさん！取りに来たぜ」

「来たか兄ちゃん。例のモンな、できたことにはできてるんだが…ちょいとおかしいんだ」

「まぁ、普通のやつじゃねェからな。カードができただけありがてェよ」

「…兄ちゃん、ありゃあ大事な人のカードかい？」

「……？あぁ、恩人の女のモンだ」

「なら、覚悟しておくことだ」




店の裏から慎重な顔をして持ってきたそれは馴染みのある真っ白な紙切れだった。
ただ一点、それがビブルカードとは言えないほど欠落した点があるとするならば




「完成した時からその状態でな、ピクリとも動かねぇんでもしかしたら失敗しちまったのかもしれねェ。長いことこの商売やってはいるがこんなこと初めてだい」

「へェ、そうなるのか…

おやっさん、これでいいんだ！
これ代金な！じゃ！俺急いでるから行くな、ありがとう！」

「え！？ちょ、兄ちゃん！」




全く動かないビブルカード。

きっとこの世でたった1枚のそれを握りしめ俺は船に走った。







「待てぇぇぇえ！ポートガス・D・エース！！」




大量の海軍を引連れて船に戻ったあと、マルコに説教を食らったのは別の話だ。

3/6(金)→←●

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す