師匠は語らない 拾弐 ページ21
「師匠、その、ぬらりは大丈夫なのか……？」
魔慧は恐る恐る師匠に訪ねる。あれから１日たった今でも、ぬらりひょんは一向に目を覚まさない。
「昨日よりも顔色は良い。今日中に目を覚ますだろ」
「そうか……」
魔慧はチラリと横になっているぬらりひょんを見る。昨日よりも表情は優しくなっているようだが、まだ苦しそうに呻いていた。
体中にあった傷も、今は塞ぎかけている。
「なぁ、その人。妖魔界にいたんだろ、何でここにいんの？」
「私も、よく分からない。昨日の雷と一緒に落ちてきたんだ。」
師匠はそう答えると、血だらけの包帯を巻き替えて、新しいものをぬらりひょんの腕に巻く。
土蜘蛛は新しい水をくんで戻って来ると、手ぬぐいを冷たい水の中に浸して軽く絞った。
「雷と言うことは、妖魔界からでしょうか？」
師匠は静かに首を振って、
「私からはなにも言えない、だが、断言できる事とすれば、閻魔の身に何かあった、と言う事だろうな。」
「「！！」」
それに全員の顔が強張った。ぬらりひょんが傷を追ってここに来たという事は、いつか師匠と閻魔大王が話していた事。妖魔界を窮地に追い込むような事が、起きたと言うことだろう。
魔慧は今は幼いとしても、閻魔大王の孫であり、時期後継者だ。危険なのには変わりない。
「じぃちゃんに何かあったのか！？だったら今すぐにでも行かねぇと！！」
「待て、ここはぬらりひょんが目を覚ますまで待つことが一番だ。なにも知らず丸腰で行くのは、自滅行為だぞ。」
「……っだけど……」
魔慧は何も言い返せずに、俯く。
誰もがぬらりひょんの目覚めを待ち望んだ、その時だった。
ぬらりひょんの手がピクリと動く。
「ぬらり！？」
ゆっくりと開かれる瞼、水色の瞳が見えた。
その瞳は魔慧を見つけると、嬉しそうに細められる。
「魔慧様……ご無事で、何より……」
「馬鹿ぬらり！！寝とかねぇと傷開くだろ！！」
「良いのです。」
ゆっくりと起き上がる体に、魔慧はさっと手で背中を支える。ぬらりひょんは魔慧の手を制すと、師匠を見つめた。
そして、その痛々しい傷を庇うようにしながらも、額を床につけた。
「ぬらり、何して……」
魔慧達がその光景に唖然とする中、ぬらりひょんは途切れ途切れにこう言った。
「是非、貴方の力を貸して頂きたい……！」
涙ぐむようなその声に、師匠は眉をひそめた。
「閻魔に、何かあったんだな。」
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♪ - ワイバーンさん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけて何よりです！小説、読ませて頂きますね!! (2016年4月3日 11時) (
レス) id: 31b9002b8a (このIDを非表示/違反報告)
ワイバーン - とても面白いですね！私も小説を書いているので宜しければ読んでみてください。応援してます！ (2016年4月2日 13時) (レス) id: da5fedacf4 (このIDを非表示/違反報告)
♪ - 星狐さん» ありがとうございます！！わざわざ読んで頂けるなんて、嬉しいかぎりです！これからも頑張りますね! (2016年3月28日 20時) (レス) id: 31b9002b8a (このIDを非表示/違反報告)
星狐 - こんばんは、星狐です。編集する前の師匠は語らないも読ませていただきました！夢主の口調変わりましたね。あっちもあっちで面白いので頑張ってください♪ (2016年3月28日 19時) (レス) id: 61c6a7506f (このIDを非表示/違反報告)
♪ - 続編まで見ていただき、本当にありがとうございます！これからも、応援やコメントの方をよろしくお願いしますね！！ (2016年3月22日 20時) (レス) id: 31b9002b8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：♪ | 作成日時：2016年3月20日 20時
