師匠は語らない 2 【新】

師匠は語らない　八 ページ17

「……『暴れ大蛇』がじいちゃんのとこに？……それ、ホントかよ……」


魔慧は信じられないとでも言うような顔で、呟いた。突然現れたそれは、桜の花が満開に咲き乱れた頃に起こる。


「はい。我らもこの目でしかと見届けておりましたゆえ……」


ぬらりひょんの部下である犬まろは、神妙な面持ちでそう話した。
何でも、暴れ大蛇は閻魔大王にまで決闘を申し込んできたらしい。ぬらりひょんは猛反対だったらしいが、閻魔大王はちょうど良いと、決闘を呑み、暴れ大蛇を改心させる事が出来たとの事。
それを聞いて、魔慧はほっと胸を撫で下ろした。


「じゃあ、じいちゃんは大丈夫なんだな？」


「はい、元気ですにゃ。
一様、知らせるようにと命を受けましたので、師匠殿達も警戒していたようですし……」


「ん、わざわざすまねぇな。仕事中だったろ？」


魔慧はポンっと犬まろと猫きよの頭に手を置いて、軽く撫でた。２人は気持ちよさそうに目を細めると、やがてハッとして、失礼しました、と頭を下げる。


「では、我々はこれで。」


「おう！伝言ご苦労！」


魔慧が微笑むと、２人は少し嬉しそうにその場を去っていった。
しばらくして、土蜘蛛は口を開く。


「良かったですね、師匠。改心したようで」


「……そうだな、良かった」


師匠は顔を綻ばせて、小さく呟いた。

師匠は語らない　九→←暴れ大蛇の追憶　七

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