いと恋しき教師様！[鈴木達央]

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そのあとナチュラルに開始した授業。
だがいつも襲ってくる眠気は一向に来る気配はなく、ノートをしっかりととりながら授業もすんなり頭に入ってくるものだった。
ノートもとてもかきやすいように黒板上でまとめられていて。
本当にこの人新任の非常勤教師？と首をかしげるほど。
今すぐにでも教師になれるのではないかと思いながらもいい声で進められていく授業を聞く。
そして1時間はあっという間に終わった。
といってもほぼ自己紹介だったので授業時間は実質30分もないくらいだったのだが。
「んじゃ今日はここまで。」
クラス委員が起立、礼、と挨拶をすると先生もきっちりと礼をした。
それが意外で。もっとなんか適当に「おー」とかで終わらせるタイプだと思っていたから。
先生が教室を出ていこうとすると途端に女子がそのまわりを囲う。
他のクラスの女子も一体どこから聞きつけたのか、まるで芸能人が来た時のような賑やかさだ。
その中心にいる先生も、満更でもなさそう。
何気なくその様子を見ていると、前の席からまるで今息を吹き返したような長い溜息が聞こえた。
「紘。なんかおかえり。」
「あああああ、生きた心地しなかったああ」
苦笑いをこぼしながら鳩胸をなでおろす紘の頭を撫でれば、なんだよーと照れた。可愛いな。
「でもすごいいい人だったよねー」
そうやって会話に入ってきたのは、今だ目は先生を追っている信長。
あんな人になりたい、と呟く彼にいやいやいやいや！と紘は全力で首を横に振る。
「やめとけ!!信長はもっといい人になれる！」
それにしても先ほどからなんでこんなに紘は先生に否定的な態度をとるのか。
基本的に平和主義でいつもニヘラニヘラと笑っている彼にしてはとても珍しいのだ。
「しぃもぉのぉ。」
「うわあああああああああああああああ!!!!??」
いきなり妖怪が出たような声を出すものだから吃驚した。
え？と薄い反応で紘の目線の先を追えば、自分のすぐ背後に先生がいたのだ。
それもあくどい笑みを浮かべて。
「いやー、最高だね。下野がいるクラスだなんて。」
「最悪だぁぁ……」
さすがは幼馴染というテンポで交わされる会話を聞きながら
真上にある先生の顔を見つめていれば、その視線に気づいたのかこちらを見て目を丸めた。
「あぁ。島野さん。下野と仲良かったんだな。」
よろしくなー、と頭を撫でられて今度はこちらが目を丸める番だ。
先生の後ろの女子の目が怖いよ…。

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