いと恋しき教師様！[鈴木達央]

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補習は時間の関係上一日おきだから今日は無し。ということでバイトをいれた。
もともと入ってなかったんだけど、いきなりの店長からの呼び出しだ。
2時間だけでいいから入ってほしいだなんて珍しいなと思いながらも、あまりに店長の声が焦っていたから二つ返事で返したのだ。
もう時刻は夕方といってもいい時間なのに、まだまだ昼の顔をした空を見上げながら歩く。それにしても今日はやけに浴衣の子多いなぁ……お祭りでもあるのかな………
「あ。」
ふと目についた古びたお煎餅屋さんの壁に貼ってあったポスター。
花火のイラストにでっかく中央に書かれた、赤色行書体の『祭』の文字。
その下にはバイト先のコンビニ近くの神社の名前と今日の日付が書かれていた。
そっか、今日あそこのお祭りなんだ。ていうことは花火大会もあるのかなぁ。
毎年バイト先近くの神社は近くの川で行われる花火大会に合わせてお祭りを催す。そりゃコンビニもこむわな〜。
バンドメンバーはみんな駅が違ったり彼氏と行ったりで。
「そんな日にバイトって…どんな非リアな日常よ…。」
もう自嘲的な笑顔しか生まれない。しかもそれを今知るって。どんだけ枯れてんだ。
そう気づいたら途端に足が重くなる。でももう行くって言っちゃったし…よし、時給のためだ。





「ありがとうございましたー。」
もういったい何組のカップルのレジをしたか分かんない。外に作った、クーラーボックスに入った飲み物といつもならレジ横に置いてある揚げ物を並べた簡易的な屋台にはベテランさんが立っているから高校生は中だ。十分中も忙しいけど。
みんながみんな幸せな空気を身にまとってて、女の子は可愛らしく浴衣を着て髪をアップにして。
いいなぁ。
私も夏満喫したいよーと嘆いた瞬間、またも自動ドアが開いた。
「いらっしゃいま…」
もう一種の反射行動というか、身についた声掛けをしようとした瞬間にのどが詰まった。
そっくりさん？
いやもしそうなら似すぎている。
「…A？」
ほら。やっぱり。本物。
凍りつきそうになる表情と心を必死に抑えて、あえて、満面の笑顔を作った。
「鈴木先生！こんばんは、なにやってんですか？？ってまぁお祭りですよねー！デートですかー？もうさすがー！ナンパとかダメですよー？ 」
自分でも分かる空元気さ。うれしいのか悲しいのか、先生だって分かるはずだ。その証拠にほら、眉間に皺がよった。
「いや、ち「鈴木せんせー？どうかされましたかー？」……東芝先生…」

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