いと恋しき教師様！[鈴木達央]

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あの衝撃の事実を知ってから本番まではそれはそれは早かった。
毎日放課後に応援団の子たちは集まり、体育委員会の子はいつも廊下を走り回り。
中には出る種目の練習をしてる子もいれば、本気で日焼け対策してる子まで。
運良く晴れ予報の当日に向けてみんなが青春という言葉にふさわしいくらいに毎日を駆けていった。
そんな中私は屋上で、バタバタしている校庭を見降ろしている。
準備のはずがサッカーし始めた同学年の男子達を見ながら口ずさむのは、この前バンドメンバーに提案した曲だ。
水たまりなんて関係なしに夕日に包まれながら楽しそうに笑う彼らは、まさに高校生活を満喫している様子だ。
「ん？しまのんじゃん。何やってんの。」
いきなりの乱入にびくりと大げさなまでに肩を震わせる。
でもその声の主が誰なのかをわかると、ほっと安心したように息を吐き出した。
大丈夫、この人は頭ごなしに怒ったりする人じゃない。
「鈴木先生。」
あれから何度立ち入り禁止のこの場所に入って怒られたかわからない。
そして何度目からか、もう先生は注意をあきらめたのか苦笑いをして見て見ぬふりをしてくれるようになったから、自分もそれにのっかっている。
まぁ怒られてもここは自分の特別の場所なのでどくわけにはいかないのだが。
というか喫煙してる先生だって同罪なのだ。共犯者だな、と言われたのはいつだっけ。
「準備、しなくていいのかよ」
くわえた煙草に火を付けながら、指さすのは階下にいるであろう彼らだ。
返事として１つ頷いた後にもう一度校庭の方を見下した。
「体育委員会にも応援団にも入ってないし。練習するような競技もないしね。」
そう伝えれば、ふーんとどうでもよさそうな相槌をうって先生はいつもどおり水道タンクのほうへ行ってしまった。なんとなくあとを追って自分も登ろうとすると
「だから、スカート履いてんのに梯子を悠々と登ろうとすんなっての。」
手でおでこを押され制されてしまったので、不服で頬を膨らませる。
「じゃぁ先生が下りてきてよ。」
「なんでだよ。」
「現役ピッチピチの女子高生が頼んでるのに先生は聞いてくれないの？」
「それはずるいだろ。」
最近知ったこと。先生は意外と変態である。
さわやかな顔つきや笑顔とはうらはらにその実はただの変態だった。と知ったのもつい最近で。
生理痛で死にそうになり保健室に行ったとき、外に出ていた保健室の先生の代わりでいたのか、ソファで“そういう”雑誌を顔にのっけて寝ている先生がいたのだ。

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