いと恋しき教師様！[鈴木達央]

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時は進み地獄のようなテスト期間も終わり、今日は解答返却日。
先生から渡された解答用紙の束に一喜一憂するクラスメイトたちを横目に、私はひたすらに項垂れていた。それもそのはず。
だってあんなに教えてもらったのに…っ。
手にしているのは赤点ギリギリセーフの古典の解答用紙。
前までならセーフ！って大喜びして櫻川先生に見せに行っていたというのに。なんとなく今回は行ける空気ではない。
「紘ぉ〜…どうしようほんと…」
「ん？お？どした？元気ねーな！」
相変わらずの笑顔…ということはいつもどおり平均少し上の教科ばかりだったのだろう。
本当安定していて羨ましい。
泣きつくように紘の机に両手を乗せて、顔を埋める。
「古典がぁあああ…」
「え、達央と個別授業したんじゃないの？」
「何で知ってるの。」
あの場に誰もいなかったはずなのに、と思い慌てて顔を上げる。
するとニヤニヤしながらえー？しりたいー？とか焦らしてきたので、なんとなくイラっとして白いモチモチのほっぺをつねって引っ張ってやった。
するとすぐに自白すると涙目になる。最初からそうしておけばいいのに。
「俺達央と家隣なんだけどさ、結構母ちゃんが達央の体心配して差し入れとかするんだ。パシりにされんのが俺なんだけど、そんときに言ってたんだよね。『お前の友達と放課後にちっさい授業したんだけど、あぁ島野ちゃん、あいつほんっと古典ダメっダメだな』って。」
めちゃめちゃ笑ってたの捕捉に、持っていた古典の用紙を思うままに握りしめた。
ぐしゃりと音がするが気にしない。
なんか馬鹿にされた気がする。いやこれは絶対に馬鹿にされた!!!
「もーなんなのあのセクハラ教師!!かっこいいとか一瞬でも思ったのが馬鹿だった!」
「へー、そんなこと思ってくれたんだ？」
突如として現れた声は、まさに話題の渦中の人物。
ギギギと油をさしていない錆びれたロボットのような動きで後ろを見れば、なぜかそこには友達がいるはずの席に鈴木先生が座っていた。
あぁ、完全に周りの女子の歓声を聞きそびれていた。くそ。
「先生!!紘に悪口言ったでしょ!?」
「気のせい気のせい」
はあ!!?
適当にあしらわれて、さらにムカムカは増量する。
気づけば先生はクッシャクシャの紙を見て、苦笑い。ってその紙まさか私の…!?
「これ…もっとスパルタのほうがいいな。」
頭を抱えてへたり込む。あんだけ教えてもらってこれって。
恥ずかしさと今後の恐怖が入り混じってもう言葉にならない。

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