21話 ページ22
ア「言ってごらん。言わないと無理やりにでも見ちゃうよ」
アブ先輩は妖艶な笑みを浮かべながら、私の唇をなぞる。
貴「いや…です」
気を抜けば、涙が出そうになる。
怖くてたまらない。でも女だとバレて友達を失うことだけは絶対に嫌だった。
ア「ほらほら、早く言わなきゃ。…それとも、俺に見てもらいたい?」
貴「いやです。…本当に何も隠してないですから」
それを聞くと、アブ先輩はスッと手を離した。
ア「本当に隠してない?」
貴「はい…」
ア「じゃあ、Aちゃんは本当に女の子なの?」
貴「はい………ん?」
あれ?今、女の子って言った?
貴「違っ、違います!」
アブ先輩は意地悪っぽく笑う。
ア「そっかー。Aちゃんは女の子だったんだ〜。まあ、知ってたけどね」
貴「え?…し、知ってたんですか!なんで!」
すると、アブ先輩は鋭かった視線を崩して、人懐っこい笑みを浮かべた。
ア「わかるよ。見ただけでわかるもん。だってこんなに可愛いのに男だなんて思えないし」
後ろの二人もいつの間にか腕を放していて、優しく笑いかけてくる。
?「さっきはごめんね!」
?「大丈夫?本当にごめんね。…やりすぎだよ、アブさん。この子泣いてるよ?」
言われて初めて自分が泣いていることに気付いた。気が抜けたせいなのか、目から次々と涙が落ちていく。
すると、アブ先輩が指を伸ばして雫を拭った。
ア「ごめんね。怖がらせちゃって。でも、キミが生半可な気持ちでこの学校に入ってきた訳じゃないってわかったよ」
アブ先輩は私の頭を優しく撫でた。すると、隣にいた二人の先輩達にも撫でられる。
さすがに三人の先輩に囲まれて、撫でられている状態に可笑しさが込み上げ、笑ってしまった。
ひとしきり笑うと、涙は引っ込んでいた。
それからは三人でいくつか話をした。
貴「いつから気付いてたんですか?」
ア「入学式の時からかな」
貴「え!そんな前にですか」
ア「そりゃあ、男子校に女の子が入るなんて何事かと思ったよ」
貴「う…はい」
ア「やっぱり怖かった?さすがにやりすぎちゃったかな」
貴「だ、大丈夫です。アブ先輩はやさしい人だってわかったので」
それを聞いた先輩は嬉しそうに笑った。
ア「そっか。なら良かった」
ア「…まあ、半分本気だったけどね」
ぼそりと呟いた言葉を私は聞き取ることが出来なかった。
***
シリアスにするか迷いましたが物語の都合上アブさんを優しくしました。
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卯月 - あひる隊長さん» ありがとうございます!別に構いませんよ!よろしくお願いします! (2018年4月27日 21時) (レス) id: ee413df35c (このIDを非表示/違反報告)
あひる隊長(プロフ) - わかりました!コメントありがとうございます!申し訳ないんですが、ショッピくんのことをあんまり知らないので口調が変になっちゃうかもしれないです!あと、もしかしたら物語の都合で他の人が出るかもしれません(><) (2018年4月27日 19時) (レス) id: 98372f4928 (このIDを非表示/違反報告)
卯月 - あひる隊長さん» 返信遅くなってごめんなさい(泣)えっと、グルちゃんと大先生とシッマとトン氏とショッピくんってお願い出来ますか?多いですかね? (2018年4月27日 17時) (レス) id: ee413df35c (このIDを非表示/違反報告)
あひる隊長(プロフ) - 卯月さん» 卯月さん!申し訳ないんですが、全員は出せそうにないので、この人だけは絶対出して!っていうのを何人か書いてほしいです<(_ _)> (2018年4月9日 9時) (レス) id: 98372f4928 (このIDを非表示/違反報告)
あひる隊長(プロフ) - 卯月さん» 我々だ知ってますよ(*^^*)エセ関西弁になっちゃいますが大丈夫でしょうか!?それでも大丈夫だったら作ってみます!! (2018年4月8日 8時) (レス) id: 98372f4928 (このIDを非表示/違反報告)
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