愛しい影。4

大人げない ページ27

伊沢side







伊「もしもし？」





あ「もしもし、どうしたの？」





伊「あ、えっと、、、」




やべ、喋ること決めてなかった、、、
声が聞きたかったとかそんなキザなセリフ言えねーし、、、
ていうかこんな長く付き合ってるのに電話ごときで緊張するなんてヘタレかよ！
とりあえず何か話題を探して伝える




伊「あー、、、あと１時間半くらいで着くよ！」





あ「うんわかった、気をつけてね」




水「A、終わったからひとまずこれで置いとくね」




そんな時電話口の向こうから水上の声がした
水上と二人でなにしてんだ？他の四人は？
ありがとう颯くん、ごめんねという彼女の声が聞こえた直後に聞いてみる



伊「水上となにしてんの？」




嫉妬してるなんてバレたらカッコ悪いし大人げないなんて思われてしまうだろうから、最大限の優しい声で言った




あ「？？？料理手伝ってもらってるだけだけど、、、どうかした？」




彼女はいつもまっすぐだから質問も超どストレートだ。
その分返しに困ることも結構ある





伊「や、まぁ、、、気をつけて」





あ「え？家の中にいるから安全だけど。笑」






伊「そういうわけじゃないんだよなぁ、、、」





もやもやした気持ちのまま電話を切ってため息を漏らす






ふと目を覚ます
いつの間にか寝てしまっていた
東京駅まではもうあと数分
ぼちぼち準備しないと、、、





子「おにーさん結婚してるの？」


いきなり現れた一人の男の子が唐突な質問を投げかけてくる
年は4、5歳だろうか




伊「え？」




子「ゆびわ、してるでしょ」




右手の薬指に光る銀色の指輪を見る
あぁ、このことか、、、




伊「んーん、これはね、結婚した人がつける指輪じゃないんだよ」




ほんとの結婚指輪はここにはめるんだよ、と言って左手の薬指を指す
するとその子は不思議そうに俺を見た




子「おにーさんは結婚しないの？」





伊「え？」





子「彼女は？」




ませてるなぁ、と思いつつも子供相手に嘘はつけないから正直に答える




伊「うん、いるよ」





子「どうして結婚しないの？」





伊「今その人はね、大学行ってお勉強頑張ってるんだ。だから俺はその邪魔をしたくないんだよ」





子「ふーん、、、」





その子が考え込んだところで母親らしき女性が慌ててこっちへ向かってきた

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