消えてしまった僕の希望 (ページ6)

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一歩ページ6

ーもしもし？

　野坂さん、どうしましたか。

　僕は西蔭に電話をした。

　手術が終わったことを伝えたかった。

　あとはリハビリをやっていけば
　大会に間に合えるだろう。

　いや、間に合わせる。

悠「すまない、
　今手術が終わって麻酔が解けたんだ。
　
　絶対戻ってくるから、待っていて…。」

　電話だから顔を見ることは出来ないが
　西蔭はきっと
　温かい優しい顔をしてくれているのだろう。

西「待っています。

　ゆっくりでも良いので無理をせず
　野坂さんらしく突き抜けて来てください。」

　そのあと僕達は次会った時、
　何処の店へ食べに行こうなど
　楽しい話を沢山した。

　勿論、この大会についても。

　どうやら一星充という選手が裏切り者かも
　しれないということも聞いた。

　僕は会ったことがないから分からないが
　調べてみる価値はありそうだ。

　第一、そんな選手聞いたことないし
　ロシアでプレイしていたというが
　経歴も何もないらしい。

　いかにも怪しいがそれでは情報不足で
　裏切り者だと証明は出来ない。

　

　取り敢えず、今度の試合は
　彼に注目してみるか…。

悠「西蔭、スイカありがとう。

　分けて少しずつだけど
　美味しく最後まで頂いたよ。」

　そう言って僕達は電話を切った。

　西蔭も王帝の皆んなの期待を裏切りたくない。
　頑張ろう、例え罵倒されたとしても。

　当たり前だが、頑張らなければいけない。
　それが唯一僕の生きがいだと思う。
　

　頑張らなければサッカーは出来ない。
　また三人でプレーも出来ないんだ。

　僕は自分の胸に手を当てた。

　きちんと動いている。

　生きたいの次は行きたいと訴えるように。
　コートに行きたいと訴えるように。

　僕は再び過去の試合のデータを分析した。
　今日は安静にしないとな。

　手術終わったばかりだし。