35 : 答 ★ ページ35
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『 25か… 』
「 アラサーや 」
『 結婚か… 』
「 ……したい? 」
『 そりゃ、ね。寿退社とか憧れるもん 』
課長から、
彼氏いないの?と何度聞かれたことか。
受付は若い子にやってほしいもんね。
アラサーがいつまでも、
しがみついてたら困るもんね。
…自分が言うと、悲しすぎるわ。
『 やっぱ婚活しようかな… 』
「 は? 」
『 ねえ、岸くん! 』
「 ほいよっ! 」
『 高身長で高学歴で高収入で
教養もあってイケメンで優しい 』
「 …… 」
『 …って人いない? 』
更にいうと、左利きで。
元カノの結婚式の帰りに
居酒屋寄って
私のエスカルゴをつまみ食いして。
ずっと好きなのに気づかない鈍感なやつ。
岸くんが、
からあげで妥協すれば?と言う。
もはや人類じゃないし。
理想が高すぎたのかな。
基準がコイツになると、
基準を満たす者なんていない。
ほんとに何者なんだ、コイツ。
からあげを、一口。
永瀬が、はあ…と
頭の後ろをガシガシっと掻いて、
私を見た。
「 おるやん、目の前に 」
いやいやいや。
永瀬何言ってんの。
……………え、永瀬何言ってんの!?
からあげが、
飛び出そうになった口元を押さえた。
「 何のためにのんちゃんより
いい大学出ていい会社入ったと思っとんねん 」
『 …は? 』
「 少しはこっち見てくれてもええやん 」
イラッとした口調。
私に向かって、
手を伸ばす。
人さし指が、首筋をつーっ…となぞった。
「 好きでもない人にこんなことする? 」
手が後頭部に回る。
ぐいっと引き寄せられて、
テーブルに片手をつくと、
身を乗り出した永瀬。
至近距離で目が合う。
ふわり、と唇が重なった。
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作者名:翠 | 作成日時:2016年1月22日 2時