さては永瀬。 (ページ22)

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22 : 惚れるページ22

「痛ってぇ！」

『ご、ごめん』

「ほんまなんなん」

こっちのセリフじゃ！！！

噛んでしまった親指を
永瀬は、ぺろっと舐めあげた。

なに！？なんかの雑誌の撮影ですか！？

ってか、
間接キ…

いやこれは間接なのか…？

いやいやいやいや。

ぶんぶんと頭を横に振る。

まずは、
話題戻さなきゃ。

『そういや！
牧野先輩元カノだったんだね！へえ！』

「中学の頃付き合ってた」

『もしかして追いかけて
この高校来たとか？ …なんて、あはは』

永瀬に限ってありえないわ。

ガンとばされて、
今度こそ本気でころされるわ。

「そうやけど？」

『え…？』

「追いかけて来たら他の男作って振られた」

『振られた』

「しかもサッカー部の先輩やし」

『 …… 』

「最初は何アイツって思っとったし、
消してやろうかなとも思っとった」

どんな権力持ってんだ。

「無理やな。のんちゃんに関わったら
好きになる。尊敬してしまう」

『 …… 』

「俺でも惚れるくらいの男やで？
しゃーないやん、諦めるしかないやろ」

『そんな… 』

あいつが幸せならそれでいい。
何も望まない。

そう言って、
空になったポテトの箱を見ながら
やっぱり悲しそうな顔で笑った。