さては永瀬。 (ページ12)

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12 : まさかのページ12

昼休み。

お昼を食べ終えた後。

モナちゃんは、
やっぱり日直で忙しくて。

他の子といる気分ではなかったから

北館の図書室に寄った。

相変わらず人はいなくて。

資料室と化した感じの無法地帯。

南館よりこっちの方が
温かみがあって好きなんだけどな。

窓側の陽のあたる席に腰掛けて、
好きな作家さんの最新作を捲る。

といっても、

見てるだけで
文字は読んでない。

から、進まない。

ぽーっと、
今朝のことを思い出して

また泣きそうになってる。

ここ最近のメンタル、ズタボロだな。

涙はここにおいていこう、って
あの日思ってたのに。

ふぅ、とため息ひとつ。

「文字読めへんの？」

『はあ！？』

左手に、文庫本。

メガネをくいっと直しながら
机に堂々と腰掛けた、永瀬廉。

ガリレオかよ！！！

「さっきから進んどらんやん」

『いつからいたの… 』

「上等さんが来る前からおるねんけど」

目立つ存在なのに影薄っっ！！

どこにいたんだよ。
怖すぎでしょ。

もはや幽霊だよ。

「で？前頭葉ちゃんと発達してます？」

『してるわ！』

怪訝そうな目で見られると

ぱっ、と
私の手元から本を奪って
目を通し始めた。

私には持っていた本を渡してくる。

えー…
なんかロクなもん読んでなさそう…

モテ方、とかそんな感じの。

仕方なく捲ってみると。

「 …… 」

『 …… 』

あれ。

これ私の好きな文章だな。

……内容も、なんだかさっきまで
読んでたのと同じような。

「真似すんなボケ」

『してないわ！』

まさかの、本被り。