さては永瀬。 (ページ1)

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そりゃそうだ。

[ 3年4組牧野里保 ]

顔、カワイイし。
すらーっと手足が長くて。
頭もいい。

名前も、学園モノに出てきそう。

そりゃ、小瀧先輩も選ぶわけだ。

『失恋上等だーーー！コノヤローーーー！』

叫んでやった。

叫んだら、
スッキリして。

スッキリしたら、
なんか悲しくて。

悲しくて悲しくて、視界が滲む。

『 ………っ… 』

ああ、
いつのまにか。

本気で好きだったみたい。

チャラそうに見えて
意外と真面目なとことか

優しい笑顔とか

笑い声とか

なんなら、足音まで。

大好きすぎてた。

『 ……泣くなんてダサすぎ、私』

なによ。

幸せそうに笑って、
手なんか繋いじゃって。

お似合いすぎて何も言えないよ。

ぽたぽた、
頬に伝う雫を袖でグッと拭う。

北館の図書室。

南館の図書室が
リフォームしたこともあって
人ひとりもいない空間。

泣くには最適な場所だ。

そうだそうだ。
誰にも見られないんだから。

大きな窓から
差してくる陽射しは

あたたかい。