27.バンダースナッチ ページ37
二人は門番がうろついている正門を避け、裏口から森に飛び出した。
森は鬱蒼としていて、少し薄暗かった。
「もうすぐ日が暮れる。」
海斗が険しい顔をしながら言う。
ハートのジャックという姿で、容姿はすっかり変わっているけど、海斗らしさを感じることができた。
こんな状況ながらも光は少し微笑む。
その時、生暖かい風とともに悪臭が漂ってきた。
海斗もそれに気付いたのか、鼻をつまみながら辺りを見渡す。
「グルルル」
身の毛がよだつような、獣のような鳴き声が背後から聞こえた。
光は顔が真っ青になった。
まさか
「バンダースナッチ!」
目の前には巨大な黒い化け物が牙を出して唸っていた。
その後ろには真っ赤な物体が落ちている。
光は吐きそうになった。
おそらくこいつが仕留めた獲物だろう。
バンダースナッチ
それは鏡の国のアリス。すなわちワンダーランドでは最も有名な化け物である。
姿や体調については詳しく書かれていないが、光はこれがバンダースナッチだと直感した。
すぐに海斗が槍を抱えて光の前に出る。
すると海斗が呟いた。
「光、逃げろ。翔太を助けてくれ。」
まさか海斗はこんな化け物と一対一で戦うつもりなのか。
「嫌だ!海斗が死んじゃう!」
誰一人失いたくない!
体が震える。
これは、全て自分のせいなのに。
「よく考えて。ここで二人とも残れば、確実に二人とも死ぬ。なら、俺が光の逃げる時間を稼ぐ。」
「何で!?何で海斗はそこまで私を庇うの!?」
「それは」
言い終わる前に、バンダースナッチが襲いかかってきた。
「キャアアアアアアア!」
「逃げろ!翔太を助けてくれ！これが、俺の願いだ!」
光は涙をぽろぽろこぼしながら、死に物狂いで走った。
ドレスがドロドロになった。
汗が吹き出て滴る。
遠くでドスッという鈍い音がした。
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西 - この方角に福があるはずです
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公爵夫人
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いちうさぎ - たいやき帝国さん» ありがとうございます!すっごい嬉しいです! (2019年6月3日 20時) (
レス) id: 28959445f3 (このIDを非表示/違反報告)
たいやき帝国 - いちうさぎさん» リク完了致しました!ご確認ください! (2019年6月3日 10時) (レス) id: c9d3db91be (このIDを非表示/違反報告)
いちうさぎ - みなさーん。コメントお願いしまあす!!(^-^)/ (2019年5月8日 18時) (レス) id: 28959445f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いちうさぎ | 作成日時：2019年5月6日 17時
