＊＊＊ ページ43
・
子犬のような潤んだ瞳で控えめに見つめられながらそんな事を聞かれ、喉の奥から出そうになった「可愛い」を今だけはどうにか押し込める。時々あるこういう……自覚せず出るそれが一番かわいいしタチが悪いんだけどな、なんて言葉も飲み込んで。さて、どうやって言えば彼の曇った心を晴れさせられるだろうか。
「さかたさんは、多分、もっと特別だから」
「特別？……かわいいのが？」
「そう。んーと……そりゃ、ちゃんとかっこいい時はかっこいいよ？だってかっこよくしてる訳だし……そもそも、ヘアセットとかしたり衣装着ただけでかっこいいのに、そんなさかたさんがかっこいい曲歌ったらそれはもうかっこいいに決まってるじゃん」
「そ、そっか……、」
あ、照れてる、かわいい。……じゃなくて！
「それで、それは多分他の三人も一緒じゃん？……でも、その。さかたさんは、かっこいいだけじゃなくて……かっこ悪いとこも、全部好きで」
「え、俺かっこ悪い！？」
「まぁ……かっこよくない時もあるけど、そういうとこもかわいいし。っていうか、さかたさんなら全部好き、なので……」
何かわたし、すごく恥ずかしいこと言ってない？……と我に返って、語尾が弱気になっちゃったし視線もちょっと逸れちゃったりして。……伝わっただろうか、ちゃんと。
「そっか……そっか、なんだ。めっちゃ坂田家やんかA……、」
「そ、そうだよ……」
「じゃあ、今後はちゃんとリプもコメントも……全部じゃなくていいから、送ってな」
「え？」
……話聞いてた？って顔を上げたら、それも先読みされていたらしく満面の笑みのさかたさんとばちりと目が合って、そして。
「ま、無理強いはせんけど……炎上とか絶対させんから、大丈夫。それよりも俺のこといっぱい褒めて、好きでいて？んで、ちゃんと坂田家でおって」
「え、ええ……？」
「ちゃんと配信も最初から来てただいま〜ってコメントせなあかんから！分かった？」
「え、あ……わ、わかりました、」
何でか強引に詰め寄られてしまって、思わず頷くと、また満足そうな笑顔を向けられて。
かっこよくてやる時はやる、頼もしい私の彼氏さん兼 最推しさんは、それでもやっぱり……誰よりもかわいいみたいです。
「よろしい。……Aは本当に俺の家族になるんやから、今のうちからちゃんと練習しとくんやで」
・君におかえりが言いたくて___End.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 69人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：作者一同 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年7月29日 22時
