【となりの坂田短編集】ハッピーエンドのその先を【コラボ企画】 (ページ27)

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―――このお店を見つけたのも、彼女との再会も本当に偶然で。

　
何もうまくいかない時があって、体調も良くなくて。

家にいたくなくて、配信もしたくなくて。

何となく、外に出てフラフラしててお腹すいたと思ったときに
目が入ったのは、このお店のオープンを祝うスタンドフラワーやった。

思わず中に入って、カウンターに座って店員を呼ぼうとしてめちゃくちゃ驚いた記憶がある。
最後に会ったのは数年前なはずなのに、まったく変わってない彼女がいて。
…まぁ、向こうは俺のこと気づいてへんみたいやったけどな。

　
「あの、注文いいっすか。」

「はーい、どれにしましょうか？」

「あー…じゃあ日替わりで。」

「かしこまりました！……ってあれ、もしかして坂田君…？」

「そうそう！久しぶりやなA。」

「え、ホントに！？なんで！？」

「いや、たまたまー…」

　
彼女も声を聴いて、思い出したようでめちゃくちゃ驚いていたわ。
料理出すから待ってね、と作り始めたので俺はお店を見ていたんやけど…
俺と同い年で、お店もつなんてすごすぎへん？

　
「はーい、お待たせしました。日替わり定食です。」

「…これ？こんなに入ってるん？」

「そうだよー…まぁ、デザートはオマケだけど！」

「マジで！？ありがとう！！」

　
出てきた定食は、鶏のから揚げと何かのフライ。
野菜の煮物に、小鉢…とバランスが取れている定食で…さすが管理栄養士と思うメニューやった。
味ももちろんうまくて、一気に完食してデザートのフルーツヨーグルトを食べる。

「にしても、まさか店やりだすなんてびっくりしたわ。」

「うん、ずっと夢でさ…坂田君は？今は何してるの？」

「俺？俺はな……」

　
彼女なら別に話してもえぇやろと、俺は病院辞めてからの話をした。
前から配信をしていたこと、今は仲間たちとグループで歌い手活動をしていること。
彼女は数年前に病院を辞めて、両親がやっている小料理屋でお店経営の勉強をしていたらしい。

　
「それにしても偶然ってすごいなぁ……」

「ホント、びっくりしたもん……」

「でも、うまかったしこれからも来るわ。」

「ホント？ありがとう！」

　
じゃあたまには坂田君のリクエストで日替わり定食作るねと
笑う彼女を見て、少しだけドキッとしたのは俺だけの秘密やけど。