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坂田くんとこうして2人で歩くのは一体何度目だろうか。高校の時から2人でご飯を食べることはあったし、それは今も変わらない。数えきれないくらい彼の隣を歩いているのにこの関係性は変わることはなかった。
もう諦めているとはいえ、少しだけ、ほんの少しだけそれが虚しかった。
その時、坂田くんが「俺な、」とおもむろに口を開いた。
「普段は別にココアなんて飲まないねん。そんな好きとかちゃうし。」
「ん？確かに珍しいなぁとは思ってたけど…。じゃあ何でわざわざ買ったの？」
彼の行動に疑問を抱いて、彼に視線を向けるように見上げると、坂田くんの綺麗な赤色の髪は、夜風によって優しく靡かれていた。
坂田くんはどこか遠くの方をぼんやりと見つめながら、続きを話す。
「ほんとは俺も買うつもりなかったんよ、けど、帰りにたまたま自動販売機の中のココア見つけて、そしたらAが頭に浮かんで、気づいたら小銭入れて買ってた。」
「…え？」
ここで私の名前が出てくるとは思わなくて、思わずドキリとした。坂田くんはそんな私に構うことなく、淡々と続きの言葉を紡ぐ。
「お前、昔からずっとココアばっか飲んでたやろ。やから俺の中でココアといったらAというか。ココアを見たらAを思い出すというか…。
別に好きでもないのになんで買っちゃったんやろって思いながらさっきまで歩いててん、けど、そんな時にAに会って、俺そこでようやく分かったことがあんねん。」
そこで一息つけると坂田くんは漸く私の方を向いた。真っ直ぐで綺麗な赤色の瞳が、私を映した。
「俺、お前のこと好きやわ。多分ずっと前から。」
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作者名：作者一同 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年7月29日 22時
