壱 ページ2
「…もう寝る。」
義勇は吐き捨てるように言うと、蝶屋敷の寝台に潜り込んだ。
アオイは悲しそうに義勇を見つめた。
しかし、やがて諦めたように黙って部屋を出た。
途端に義勇は、罪悪感に襲われる。
あんな言い方、するんじゃなかった。
(アオイには、面倒をかけてばかりだ…)
義勇は深々とため息をつき、瞼を閉じた。
「冨岡さん、こんばんは。」
義勇がハッと目を開けば、そこには今は亡き同僚の姿。
「今夜は月が綺麗ですねぇ。」
「胡蝶ッ!お前、生きてッ…!」
義勇は言いかけて、口を噤んだ。
彼女は、死んだ。
これは、ただの夢だ。
しのぶは、義勇の言おうとしたことを察して、悲しげに微笑んだ。
「ごめんなさい―――」
「謝るくらいなら、あんな死に方するんじゃない!残された方が辛いだけだろう!」
しのぶは一瞬目を見開き、そして言った。
「あら、今日は嫌に饒舌なんですね。
でも、私、後悔はしていません。やっと姉の仇が取れましたし、蝶屋敷はアオイたちに任せてれば何も心配ありませんから。」
義勇はやりきれなくなって、顔をそむけた。
「そんなこと言うな。あの子らが、お前をどれ程慕っていたことか。もっと胡蝶と共に居たいと思っていたはずだ。」
それに。
義勇は心の中で付け加える。
それに俺だって、もっとお前と一緒に過ごしたかった。
出来る事なら、鬼のいない平和な世界で、胡蝶の笑顔を見ていたかった。
「冨岡さん、いつまでも下を向いていてはだめですよ。アオイたちみたいに、前を向いて。」
しのぶは言った。
その声は、心なしか震えているようで。
「しっかり生きて下さいね、
しのぶの姿は、みるみるうちに薄れていった。
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ピ奈 - 胡蝶蘭の花言葉初めて知った...お葬式や卒業式に胡蝶蘭が飾ってあるのを見てきたので「祝う」とかそういう意味だと思ってました...卒業式に「あなたを愛しています」とかは愛されてた感じがして泣けてきますね、お葬式でも...花言葉って素晴らしい! (2021年3月26日 1時) (レス) id: b2cfaa4137 (このIDを非表示/違反報告)
凛花 - 悲しい...。 (2020年8月6日 21時) (レス) id: e8c0aaebea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおいつばめ | 作成日時:2020年7月17日 20時