□79話■ ページ19
□Aside■
トントントン…
包丁がまな板に当たる音が、台所に鳴り響く。
それと同時に、リズムよく切れていく玉ねぎ。
料理って、こういう時にいい。
無心になれるから。
あの人と会ってから
あたしはずっと、モヤモヤしている。
二宮さんの、あの優しい顔。
大切な人だとわかっているのに
あたし以外の人に向けられているのが、なんか…嫌で。
自分勝手だと思う。
ずっと気持ちを伝えず、曖昧にしてしまっているのはあたしなのに。
なのに、他の人を見ないで、なんて。
自分で自分が、嫌になる。
和也「何作ってんの？」
A「ひっ！！」
玉ねぎを切っている最中
後ろから二宮さんが顔を出して
短い悲鳴をあげると、少し怪訝そうな顔になった。
和也「俺は幽霊か」
A「二宮さん、気配無さすぎ…」
和也「わんこがボーッとしてるからでしょ？」
A「うっ…」
和也「どした？なんかあった？」
いつになく優しい二宮さんに
キュン、と胸がなる。
いつも意地悪なくせに、たまに優しいなんて
ツンデレ…とは違うのかな？ギャップ萌えってやつ？
A「いや…大丈夫です」
和也「あそ。で、何作ってんの？」
A「オムライス」
和也「やった〜」
子供みたいな声をあげる二宮さんに
またキュンと胸が締め付けられる。
…可愛い。
ダメだ、料理に集中集中…
自分に言い聞かせながら
また玉ねぎに向かい合うと
和也「ねぇ」バッ
A「え！」
後ろから二宮さんに抱きつかれて
思わず持っていた包丁を落としそうになる。
A「ほ、包丁使ってるんで危ないですよ！」
和也「お腹すいた」
A「だから今作ってるじゃないですか！」
和也「んー」
耳元で話すもんだから
息がかかって、くすぐったい…
和也「わんこ」
甘い声で呼ばないで。
全身が心臓になったみたいに
鼓動が、煩い。
A「ほ、ほんとに危ない…」バクバク…
和也「いやもう腹ペコですよ」
A「だから…」
和也「じゃあ先にわんこを食べた…」
ゲシッ
和也「いってぇ！！！」
二宮氏のスネにクリーンヒットした後ろ蹴りは
確実に効き目があったよう。
何を言いだすかと思いきや。
あ…あ…あほか！！！
A「黙って座ってなさい！」
和也「ちぇ」
やっと諦めた二宮さんは
口を尖らせながらリビングに戻っていった。
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爽歌。(プロフ) - ににょちーろさん» コメント有難うございます！そんな風に言っていただけて、とても嬉しいです…！！機会があれば、是非書かせていただきますね(*´-`) (2017年6月3日 18時) (
レス) id: c1e035cb77 (このIDを非表示/違反報告)
ににょちーろ - 爽歌さん！めっちゃくちゃ面白いです。このお話♪1〜3まで早いペースで読んじゃうくらい面白いですよ！本当に(-^〇^-)！これからも応援してますほかの作品も書いてほしいなぁ〜！。なんて、、 あ、コメントは返していただかなくても結構です！ (2017年6月2日 21時) (レス) id: 2efc655b00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：爽歌。
| 作成日時：2017年5月23日 0時
