【古見さんは、コミュ症です。】私、華咲は、花が咲く様に笑うようです。

花咲き26　梅雨なんて滅べば良いと思う ページ29

『……ハァ……雨降ってる。』

私は鞄を頭の上に構えて、学校を出た。

コンビニ寄って傘買うか。もしかしたらタオルも必要かもな……。信じらんねぇ……。

前傾姿勢になって走っていたので、誰かにぶつかった。

『うわ、すみません。』

「ん、A？」

『笑介君！あ"ー……ごめん、私のせいで制服濡れちゃった……。』

悪りぃことしたわ。マジごめんよ。

私はハンカチを取り出してパタパタと笑介君の制服を叩いた。

笑介「傘持ってないの？」

『うん。天気予報見ない人間だから。』

笑介「家まで送る。」

そう言って笑介君は私を傘に入れた。

『え、2人入るとか狭いし良いよ。』

笑介「良いから入ってなよ。俺が濡れれば良い話だし。」

『いや、風邪引くよ！？』

笑介「Aが風邪引く方が困る。」

笑介君はぐいと私の腕を引っ張った。

『家、反対方向だよ。』

笑介「だから？」

『……頑固な所古見ちゃんそっくり。』

言ったら聞かない所そっくり。私の意見少しは尊重して？

笑介「折れた？」

『此方が折れなきゃずっと終わんない話だったもん。』

笑介「家の場所教えて。」

『はいはい。』

結局私は、笑介君の押しに負け、家まで送ってもらってしまった。

年下の、しかも友達の弟君にこんなことをさせてしまうなんて……。申し訳ない。
古見ちゃんに言わないよね！？言ったら恥ずか死ぬ！

笑介「変な顔。」

『変って。』

笑介「別に姉貴には言わねーよ。俺とAの秘密ってことにしようよ。」

笑介君は自分の口に人差し指を当て、ふわりと微笑んだ。

超絵になるっ……！！

笑介「じゃあね。」

『あ、ありがとう！今度何かお礼するね！』

笑介君は振り向かずに私にひらひらと手を振っただけだった。

イケメンな対応！やべー、中学生ヤベェ……！

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